夏目深雪(批評家・編集者)

「アジア映画の森ー新世紀の映画地図」は、東は韓国から西はトルコまでを網羅したガイドブックである。各国の通史+2000年代の作家論という歴史の流れを縦軸とすると、それぞれの地域性を際立たせながら、地域を跨るコラムによる地誌学的なアプローチが横軸となっている。筋金入りのアジア映画ファンでも、アジア映画の全体像を掴むのはなかなか難しいとの認識から、作った本である。本書を通読すれば、朧げながら全体像が掴めるようになっている。
とはいえ、実際には、映画を観てみないことには何も始まらない。今回は本で扱いがある重要作やレアな名作を上映し、執筆者を中心に解説、トークセッションしていただく場を設けた。本でも試みたことだが、できる限り多様な国の、多彩なジャンルの映画を、できる限り多角的な立場から分析すること。そうしてはじめて、アジアの森は私たちを受け入れてくれるはずだ。