<映画の土曜日 東京編>に寄せて
ウテ・アウラント(映画作家)

今回二つのプログラムでは、私の親しい映画作家を紹介したいと思います。彼らは私と一緒に映画を制作し、共同作業をした仲間たちであり、また私が高く評価する作家たちです。
テオ・ティースマイアー、レナーテ・ザミ、ベァベル・フロイントと私は、1997年から2007年まで、グループ「フィルムザムスターク(映画の土曜日)」を立ち上げ、月一度の割合で、めったに映画館にかからない映画を上映してきました。どんなジャンルの映画かは問題にしませんでした。上映する作品の条件は、それぞれが好きな作品であることだけです。
テオ・ティースマイアーの『マイ・ライン』と、レナーテ・ザミの『映画日記』は、個人的でありつつ広く世界に向けて作られたものです。ベァベル・フロイントと私が一年をかけて撮影した『庭園で』は、サイレント作品で、花と植物の色彩だけで語りかけています。ウルリケ・プファイファーと私はベルリンの映画アカデミーで共に学び、その時私たちが初めて共同制作した『まわり道』で、走る列車の車窓からの風景を撮りました。
スコットランド人であるマーガレット・テイトの映画は、私にとって大きな発見でした。日常的な詩情への感性、こだわりの強いカメラ、根気と強情さといった彼女の特徴は、彼女の第一作と第二作『三つのポートレート・スケッチ』(1951)と『Gaのポートレート』(1952)において、既に完全に表わされています。ロバート・ビーヴァーズの『歩廊』を選んだ理由は、1992年に私がこの映画を初めて観たとき、その美しさと名状しがたさに深く感銘を受けたからです。
この上映会は、私の最新作『ハンギング・アップサイド・ダウン・イン・ザ・ブランチェス(梢の間で真っ逆さま)』で始まります。この映画は、両親を亡くした後の、大人でありつつ同時にそうではない感情をテーマにしています。