持田睦 Makoto MOCHIDA(演出家)

彼らの作品は真にストローブ的な意味で「エロティック」な映像であると思う。

昨年の秋にベルリンで行われたストローブ=ユイレ展にでかけた。その2日目キュレーター二人を中心に、ストローブとユイレの映画の影響を受けた若い世代の芸術家や研究者が、「リユース」や「リサイクル」といった言葉を用いながら、ストローブとユイレからモノの見方を学ぶこと、さらには、その学びを通じて、既存のモノの見方を捨て去ること(彼らは「アンラーニング」という言葉を用いた)について真剣に語り合う様子を目した。
その後に上映された、エルケ・マーへーファーとミハイル・リロフというカップルの16ミリ映画は、新しいストローブとユイレの出現かと思わされるほど、素晴らしい映画で、人間ではなく、土や植物の「観照」が映し出されたその映像は、トビアス・へーリング(ストローブ=ユイレ展のキュレーター)が語る「非ヒエラルキー的なネットワーク」の映像であると同時に、真にストローブ的な意味での「エロティック」(2013年の両監督によるインタビューの際に「自然」に言及したストローブの発言)な映像であった。