小川プロダクション ドキュメンタリー史における大いなる実験
阿部マーク・ノーネス

小川プロダクションを理解する唯一の方法は、その映画を制作順に見ていくことだ。私は常々そう思ってきた。彼らのドキュメンタリーについての考えが、時が経つにつれて、まるで社会がその姿を変えていくように、ゆっくりと、だが着実に変化していくのが分かるだろう。それを経験する機会、小川紳介と時間を旅する機会はそう滅多にない。その上、素晴らしいことに、アテネ・フランセ文化センターは、小川プロの結成以前に最も影響力をもっていたドキュメンタリー映画をプログラムに組み入れることで、さらにその一歩先まで踏み込んでいく。小川たちが知っていて、そして最終的には離れていったドキュメンタリーの慣例を背景に、小川の作品が上映されるのだ。ドキュメンタリー史における大いなる実験、すなわち小川プロダクションを結成しようと小川紳介が周囲の若い活動家を集めていたとき、彼がなにを見ていたのか。確認せよ。