クリス・フジワラ(映画批評家)

ハンス・ユルゲン・ジーバーベルクの「ドイツ三部作」は、壮大かつ自暴自棄な意志の行為であり、ドイツロマン派の伝統の終焉の演出であると同時に、映画そのものが伝統の終末期の様相を呈する自殺行為でもある。19世紀と20世紀のヨーロッパのもっとも毒々しい神話を、空想的なモノローグであることの紛れもない印として再びイメージできるように、ジーバーベルクはSFのヒーローみたいに未来にカメラを据えつける。ジーバーベルクは、まるでチャールズ・フォスター・ケーンのスノードームのなかに入れて、振ってみせるかのように、そのような印を組み合わせるのだ。