モンテ・カルロ

Monte Carlo 1930年(94分)

監督/エルンスト・ルビッチ

出演/ジャネット・マクドナルド(マラ)

(あらすじ)
 オットー・フォン・リーベンハイム侯爵邸では、まもなく侯爵とマラ伯爵夫人の結婚式が行われようとしていた。運悪く突然の降雨となったがオットーは中庭を通るときは居並ぶ召使いの持つ傘の下を歩いていくので何ら気にする様子はない。しかし、そんなことではすまされぬ事態が持ちあがる。何と花嫁となるべきマラが姿を消してしまったのである。
 そのマラは侍女のベルタと二人きりで発車しようとしている列車に飛び乗る。コンパートメントに落ち着いた二人のところに車掌が来るが、マラの服装と行く当てのない様子に不審顔である。マラは車掌の言葉から行く先をモンテ・カルロと即決する。
 舞台はモンテ・カルロへと移る。友人に自分のルーレットの賭け方について話しているルドルフ・フェリエール伯爵は前を通りすぎたマラを見てすっかりマラにほれこんでしまった。
 マラの方はカジノのルーレットに参加する。ルドルフも見守る中、彼女は16番に有り金すべてを賭ける。2度、3度、4度と彼女は勝つが、5度目に29番が出て結局彼女はすっからかんとなってしまう。生活費の計算をしているベルタのところに戻ってきた彼女は、さすがにそのことが口に出せない。そこへ花が運ばれてくる。差出人はルドルフで手紙が添えられていたが、マラはあっさり破り捨てる。ところが、床についたマラにルドルフから電話がかかってきた。最初は取りあわなかったマラであったが、次第に彼の歌声に心ひかれ遂には一緒に歌い出す(「オールウィン・イン・オールウェイズ」)。
 ルドルフはそれ以上彼女に接近することはできず、はや一週間が経過していた。そんなある日、マラが通りすがりの紳士に挨拶していくのを目撃する。その紳士はマラの美容師で、ルドルフは彼とすっかり意気投合する(「トリムン・ザ・ウーマン」)。
 一方その頃、オットーもマラの行く先をさぐりだしてモンテ・カルロに向かっていた。ルドルフは美容師になりすましてマラを訪ねる。ベルタから金のことは口にするなと釘をさされたものの、ルドルフはようやくマラと二人きりとなる。髪型のこともろくに知らぬ彼は、マラの断髪の要求を巧みにかわす。それでいて記念とすべき彼女の髪はしっかりと手に入れるのである。
 ルドルフは美容師どころか彼女の運転手までやって一時も離れまいとしている。そんなおりに、とうとうオットーが訪ねてくる。金がなくなってきたマラがこのままではオットーとの結婚を承諾してしまうと感じたルドルフは、彼女をルーレットに誘う。マラもこれには応じてくる。その夜、正装したルドルフはマラを連れてカジノへ出かけていくが、目の前にオットーがいるので二人は出ていかざるを得なくなる。マラを先に帰したルドルフは、カジノでもうけたふりをして自分のポケットマネーをマラのところに持っていく。さすがにマラは喜び、ルドルフも満足な思いにひたる。
 翌朝、ルドルフは改めてマラを訪ねていくが、このときマラは彼のことをあくまでも理容師としてしか扱おうとしない。そんな彼女の態度に怒ったルドルフは乱暴にキスをすると出てってしまう。ルドルフのこのような振るまいに心動かされたマラは、手の裏を返したように彼のことを捜し始める。市内各所の美容院に電話をしていくが、たまたま客として来ていたルドルフがその電話に答える。その夜のオペラ観劇のための調髪をマラはどうしてもルドルフにやってもらいたいのだ。
 夕刻となってオットーが迎えにくるが、マラはルドルフが来ないのでイライラしている。ようやくルドルフが姿を見せたのでマラはオットーを先に行かせるが、思いかけずルドルフはマラに辛くあたりロクに調髪もしないで去ってしまう。
 仕方なくマラは自分で髪をとかし、一幕が終わったところで到着する、オペラの演目は「ムッシュ・ボーケール」、何とヒロインが美容師と恋に陥るという話である。近くにルドルフをみとめたマラは、オペラが進むうちに事の次第を理解していく。そのうちにオットーは眠ってしまい、マラはルドルフのところへ行って彼の口から真相を聞かされる。
 もはや何のわだかまりもなかった。オペラの方は悲劇で終わるが、ルドルフはハッピー・エンドが好きなのである。二人は同じ列車に乗ってモンテ・カルロを後にする。