21歳のデニスは、映画の吹き替えの仕事をしている。『夏物語』(エリック・ロメール)の録音の後、彼女は恋人ヤンに別れを告げる。彼女は晴れたベルリンの街を歩き、愛について思いを巡らせる。「彼女は街の現実の地理関係に従って移動する」(アルスラン)。
19歳のパウルはドイツ国防軍の初年兵。演習からの帰路の途中で部隊を離れ、両親の別荘に入り込み、こっそり滞在する。そこへ彼の兄マックスが恋人レネと訪れ、兄弟の葛藤が高まってゆく。ケーラーの長編デビューである本作は、内外の映画祭で数多くの賞を獲得。
ミュンヘンの大学でウィルス学を教えるヨハネスはペルシア人の同僚ファリッドと仲良くなる。だがある日、連邦憲法擁護庁からファリッドにテロリストの疑いがあるためスパイするよう要請を受ける。やがて彼らの間に職場の緊張が高まったとき、ヨハネスはある決断をする。
孤児のニナは、年長の少女トニに魅せられる。ペッツォルト(『東ベルリンから来た女』)の「幻影三部作」第二作。ハルーン・ファロッキが共同脚本。ペッツォルトはベルリン・ドイツ映画テレビアカデミー在籍中、ファロッキやハルトムート・ビトムスキー作品の助監督を務めた。
ベルリン近郊の村に住む若い夫婦。彼らは幼なじみで仲睦まじく、仕事も熱心だった。だが夫が出張先である女性宅に泊まった日から、取り返しのつかない変化が始まった。グリーゼバッハは事前に田舎の光景を撮影し、それを基に人物像やドラマを紡ぎ出していった。
ある日、シュテファンの家を甥のパウルが訪れる。パウルの突然の滞在が、シュテファンの妻アンナ、息子のローベルトの心理の奥底を浮き彫りにし、物語は痛ましい結末を迎える。カンヌ映画祭批評家週間に出品され、脚本賞などを受賞したルートハルトの初長編。
チェーホフの『かもめ』の登場人物になぞらえたある家族の物語。郊外の家に伯父アレックスと住む作家志望のクリスティアン。そこに彼の母で女優のイレーネが新しい恋人と戻ってくる。だが長い年月の間の溝は埋まらず、母も息子も孤独の中に取り残されてゆく。
ベルリンの郊外ウッカーマルクの閑静な家にアンナは夫と息子と暮らしている。ある夏の日、アンナの家に長女とその家族、次女、母らが集い、家族の関係が見つめ直される。アンナを演じるのは、ニュー・ジャーマン・シネマの代表的女優アンゲラ・ヴィンクラー。
イェラはハノーファーで新しいパートナーと出会うが、元夫の存在に悩まされる。ペッツォルトの「幻影三部作」最終作。「イェラ」の名前は『都会のアリス』(ヴィム・ヴェンダース)の主演イェラ・ロットレンダーに由来。ニーナ・ホスは本作でベルリン映画祭主演女優賞を受賞。
かつての犯罪者仲間から命を狙われることになったトロヤンは、独自に現金輸送車を襲撃するための緻密な計画を立てる。「この物語では登場人物が絶えず移動しているが、それによってベルリンという街を見せる可能性が大きく広がった」(アルスラン)。
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