クリス・フジワラの「映画表現論」 現代映画とはなにか?
What Is Contemporary Cinema?

2015年8月20日(木)-8月22日(土)(3日間)
会場:アテネ・フランセ文化センター

「現代映画とは何か」―この大きな問題を、国際映画批評家連盟Webマガジン編集長で、前エジンバラ映画祭アーティスティック・ディレクターのクリス・フジワラ氏が選定した映画の上映と講義を通して考える。

【お詫びと訂正】
 
チラシ等、事前の告知におきまして、字幕翻訳が藤原敏史氏と記載していましたが、諸般の事情により複数人での翻訳となりましたことをご報告させていただきます。
翻訳にあたりご監修・ご協力をいただいたアダム・サザーランド氏に心よりお礼を申し上げます。
なお、講演会の通訳は、予定通り藤原敏史氏がご担当なさいます。

2015年8月19日
アテネ・フランセ文化センター

今日の映画は断片化すると同時に均質的に統合もされている。断片化されているのはインディペンデント映画作家たちの関心とアプローチの多様性ゆえであり、その一方でデジタルのフォーマットと多くの国際映画祭に共通するトレンドによって均質化もしている。現時点において、現代映画とはなにかを理解することは可能であろうか?今日の実作は古典的な演出や作家性のコンセプトをいかに再定義しているのだろうか?

この上映と講義のシリーズでは、この疑問に以下のテーマに沿ってアプローチを試みる。
(1)浮遊する視点と絶対的な視点
(2)公的、私的、そして「半ば公的」な空間の混乱
(3)登場人物がその演技を通して環境を支配する試み
(4)家族についてのアイロニカルな追悼文
(5)体験的時間の変わり続けるモード

クリス・フジワラ(前エジンバラ映画祭アーティスティック・ディレクター/映画批評家)

■スケジュール

8月20日(木)

19:00 遠くからは奇麗に見える(77分)

8月21日(金)

19:00 エレナ出口(72分)

8月22日(土)

16:30 グレイテスツ・ヒッツ(103分)
18:30 講義「現代映画とは何か」
講師:クリス・フジワラ

■上映作品

遠くからは奇麗に見える

遠くからは奇麗に見える
It Looks Pretty from a Distance
2011年(77分)ポーランド、アメリカ

監督:アンカ・サスナル、ヴィルヘルム・サスナル
出演:マルチン・ツァルニク アニェシュカ・ポドシアディク

この映画の舞台はポーランドの小さな、孤立した村。屑鉄の回収業者が行方不明になったのをきっかけに、共同体は次第に暴力と犯罪性に染まり崩壊していく。造形美術を学んだ監督が、サスペンスにあふれ、ほとんど台詞のない、ヨーロッパ社会の崩壊のまっただ中に置かれた日常の単調と恐怖の力強い演出を見せる。

エレナ出口

エレナ出口
Exit Elena
2012年(72分)アメリカ

監督:ネイサン・シルヴァー
出演:キア・デイヴィス、シンディ・シルヴァー

ネイサン・シルヴァーの映画は、優れた感受性とユーモアで、人々が自身のもっとも深い憧れをお互いに認め合い分かち合う能力が、人を助けあるいは助けられたい願望によって歪められて行くのかを探究する。『エレナ出口』では、若い尼僧が機能不全に陥った家族と共に滞在するうちに、家族一人一人の恐怖と欲望の対象になっていく。このごく小予算の居心地の悪さのコメディは、不安定さと、俳優の自己表現の増減に向けられた注意深さにおいて、ジョン・カサヴェテスの映画を思い出させる。

カメラを持った男

グレイテスツ・ヒッツ
Greatest Hits
2012年(103分)メキシコ=カナダ=オランダ

監督:ニコラス・ペレーダ
出演:ガビーノ・ロドリゲス、テレサ・サンチェス

まだ30代前半のニコラス・ペレーダはすでに八本の長編映画を監督し、現代の映画作家としてメジャーな地位を確立している。『グレイテスツ・ヒッツ』は長らく不在だった父の突然の帰宅と、反発する妻と息子との対面の物語であり、この監督のこれまでの作品の総括であると同時に、一貫して家族関係とパフォーマンスの問題を探究するなかでの転機となっている。「同じ俳優が同じような役を演ずる映画を何本か作って来て、私は表象のプロセスそのものについての映画を作ることを思い立った。これは新しい可能性を切り開く体験になった」(ペレーダ監督)


■全作品日本語字幕付
■全作品デジタル上映

■料金
一般=2000円(3回券=5000円
アテネ・フランセ文化センター会員=1500円
※「遠くからは奇麗に見える」「エレナ出口」「グレイテスツ・ヒッツ」いずれかのチケット半券のご提示で、8月22日(土)の講義にご参加いただけます。

■会場・お問い合せ

アテネ・フランセ文化センター
千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339

■主催

アテネ・フランセ文化センター

■共催
映画美学校

■協力
Chris FUJIWARA + Toshi FUJIWARA