ヘルムート・コイトナー監督特集 作品解説

さようなら、フランツィスカ!

さようなら、フランツィスカ!
Auf Wiedersehen Franziska!

1941-1942(93分)

1932年から第二次大戦にかけて、夫婦の出逢いと行き違いの日々を描いたメロドラマ。夫ミヒャエルとの生活に絶望してゆく妻フランツィスカだが、彼への愛を諦めきれない。主演はマリアンネ・ホッペとハンス・ゼーンカー。

短調のロマンス(ロマンツェ・イン・モル)

短調のロマンス(ロマンツェ・イン・モル)
Romanze in Moll

1943(94分)

モーパッサンの小説の映画化。世紀末のパリに芽生えた、人妻と若い作曲家の愛。「短調のロマンス」の旋律と、真珠のネックレスがその悲しい末路を明かす。マリアンネ・ホッペの演技が、一人の女性の心理を見事に描きだす。

グローセ・フライハイト7番地

グローセ・フライハイト7番地
Grosse Freiheit Nr. 7

1943-1944(106分)

ハンブルクの下町に展開する人間模様。元船乗りのハネス(ハンス・アルバース)は、愛人が経営する酒場で歌手として働いている。アルバースが歌う「ラ・パロマ」「はじめは辛く」は流行歌となって、長く親しまれた。

橋のたもとで

橋のたもとで
Unter den Brücken

1944-1945(95分)

古びた艀船「リーゼ=ロッテ号」で旅するヘンドリックとヴィリーの気楽な日々。美しい娘アンナをめぐって繰り広げられる二人の物語が、1940年代半ばのドイツの風景を背景として、抒情的かつ陽気に描かれてゆく。

あの頃は

あの頃は
In jenen Tagen

1946-1947(98分)

第二次大戦後の荒廃したドイツ。老夫婦が所有する一台の車が、7つのエピソードを語りはじめる。車のこれまでの所有者の人生と、ヒトラーのもとで起こった様々な現実が、次々と直視されてゆく。

最後の橋

最後の橋
Die letzte Brücke

1953-1954(98分)

ドイツ人の女医ヘルガは、バルカン半島の野戦病院でユーゴスラヴィアのパルチザンに誘拐される。敵と味方の間にかかる橋に象徴される揺れ動く心を、マリア・シェルが感動的に演じる。共演はヴェルンハルト・ヴィッキ。

悪魔の将軍

悪魔の将軍
Des Teufels General

1954-1955(115分)

空軍パイロットの草分けであるエルンスト・ウデットをモデルとした物語。戦闘機の墜落事故にまつわる疑惑の罪を負って、ハラス将軍は自ら死の道を選ぶ。主演はクルト・ユルゲンス。カール・ツックマイヤー原作。

雨の夜の銃声

雨の夜の銃声
Himmel ohne Sterne

1955(103分)

東西ドイツの堺目にあるとある駅で、西ドイツの国境警備隊員カールと東ドイツの工場で働くアンナが密会する。西側への脱出を夢見たアンナの人生は悲劇に終わる。ひとつの国を分断する国境に対する、衝撃的な告発映画。

ケペニックの大尉

ケペニックの大尉
Der Hauptmann von Köpenick

1956(89分)

ウィルヘルム・フォークトは出所後、大尉の軍服を入手し、ケペニックの市役所を占拠する。1906年に起きた事件に想を得たカール・ツックマイヤーの原作を映画化。人気俳優ハインツ・リューマンを主演し、大ヒットした作品。

赤毛の女

赤毛の女
Die Rote

1962(90分)

日常に飽き飽きしたフランチスカは、ヴェニスで新しい人生を試みるが、何も変わらないことに気づき、逃避を続ける。上流社会の倦怠と停滞した社会を分析するアルフレート・アンデルシュのメランコリックな小説の映画化。