マイナードイツ映画(発掘)講座
第4回:『ハード・ラブ』(ローザ・フォン・プラウンハイム)

2017年3月25日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

渋谷哲也氏による、日本未公開のドイツ映画を日本語字幕付きで上映・解説する連続講義。第4回目は、『ベルリンブルース』や『アニタ 背徳のダンサー』などアンダーグラウンド作品で知られ、今もなお意欲的に作品を発表し続ける、ローザ・フォン・プラウンハイムの日本未公開最新作『ハード・ラブ』を取り上げる。

ローザ・フォン・ブラウンハイムはもちろんニュージャーマンシネマの重鎮の一人として改めて紹介する必要もないのだが、マイナー映画という名称は他ならぬ彼にこそふさわしいと思う。
彼の作品は常に社会への挑発と啓蒙活動の両輪を担ってきた。社会運動的な身振りがファスビンダーやシュレーターの映像中心志向と異なるのだが、ローザこそクィアの持つ政治性にもっとも自覚的であり、それをアジビラではなく映画の形式にすることができた稀有な才能なのだ。
今回の上映作は性的タブーに触れる過激さはあるのだが、従来のテーマである同性愛や異性装が入っていないのでどちらかというと一般向けかもしれない。ただし〈普通〉の映画では全くないのでご注意を。

渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

■上映スケジュール

3月25日(土)

16:30 上映『ハード・ラブ』(89分)
18:00 講義(講師:渋谷哲也)

■上映作品

ハード・ラブ

ハード・ラブ
HÄRTE
2015(89分)※デジタル上映

監督:ローザ・フォン・プラウンハイム
撮影:ニコライ・ツォルン エルフィ・ミケシュ
脚本:ニコ・ヴォッヘ ローザ・フォン・プラウンハイム ユルゲン・レムケ アンドレアス・マルクヴァルト
出演:アンドレアス・マルクヴァルト マリオン・エルドマン ハンノ・コフラー

空手のエキスパートであるアンディは幼少期に家族から性的虐待を受けていた。 家を出て売春斡旋業で大金を稼ぐようになると、マリオンという少女と出会う。アンディは彼女の自分への気持ちを利用して働かせるが、彼女もまた幼少期に性的虐待を受けていた。暴行事件を起こし服役となったアンディは、やがてマリオンとふたりで生きて行くことを誓い、空手道場を開いて問題を抱える子供たちのための活動を始める。空手チャンピオンのアンドレアス・マルクヴァルトの実話を基にした物語。

■監督情報

ローザ・フォン・プラウンハイム

ローザ・フォン・プラウンハイム
Rosa von Praunheim


1942年11月25日、ラトビア生まれ。絵画を学んだ後、60年代後半から映画制作を始める。1970年、結婚のパロディ『ベッドソーセージ』で成功した後、同性愛者の解放をめぐる問題に一石を投じた『ホモセクシュアルが倒錯なのではない、彼らの生きる社会が倒錯しているのだ』を監督すると、瞬く間に評判となり、ドイツのゲイ運動に大きな影響を与える。『恋人たちの軍隊』は1950年代から76年までのアメリカのゲイやレズビアンを取り上げるなど、性的マイノリティを扱うことを一貫したテーマとしている。
ニューヨークで幾つかの映画を撮影後、ドイツに帰国。1985年には『空白恐怖症』がロサンゼルス映画批評家協会賞を受賞、その後も、『タリー・ブラウン、ニューヨーク』(1985)、『ベルリンブルース』(1986)、『アニタ 背徳のダンサー』(1993)、エイズに関するドキュメンタリーの連作(『陽性』(1990)、『沈黙=死』(1990)、『お尻に火がつく』)などアメリカとドイツを拠点に、意欲的に作品を発表してゆく。
90年代に入ると、『ゲイの勇気—ドイツにおける100年に及ぶゲイの権利闘争』(1997)や『セックスのアインシュタイン』(1999)など、性的マイノリティとナチズムの関係など歴史認識を見直す作品を多く制作するようになる。
2006年まではコンラート・ヴォルフ映画テレビ学校で教鞭を取っており、現在も映画をコンスタントに発表するなど、精力的に活動している。


■入れ替えなし
■上映作品は日本語字幕付き

■料金

一般=1500円
学生/シニア=1300円
アテネ・フランセ文化センター会員==1000円

■会場&お問い合わせ

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
TEL. 03-3291-4339

■主催

アテネ・フランセ文化センター

■協力

m-appeal