マイナードイツ映画(発掘)講座
第6回:『ブラック・ボックス・ジャーマニー』

2017年11月4日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

渋谷哲也氏による、日本未公開のドイツ映画を日本語字幕付きで上映・解説する連続講義。第6回目は、アンドレス・ファイエルの出世作、『ブラック・ボックス・ジャーマニー』を取り上げる。

西ドイツにおいて赤軍派と国家権力の対決が極点に達した『秋のドイツ』からちょうど40年。今回のマイナードイツ映画講座は、敢えて名作として評価の高い作品を≪再≫発掘してみたい。バーダー=マインホフというリーダーを失った後も赤軍派のテロ活動は続いている。ドイツが統一に向かう80年代末から90年代にかけて起こった2つの殺人事件をナチスの過去との関連で追う。ファイエルは冷静かつ緻密にドイツにおける暴力の負の連鎖を解き明かそうとするが、その成果自体が巨大なブラックボックスとなって我々の前に投げ出される皮肉。社会が新たな激動の予感を孕む今だからこそ向き合いたいドキュメンタリー作品だ。

渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

■上映スケジュール

11月4日(土)

15:00 上映『ブラック・ボックス・ジャーマニー』(102分)
16:45 講義(講師:渋谷哲也)

■上映作品

ブラック・ボックス・ジャーマニー

ブラック・ボックス・ジャーマニー
Black Box BRD
102分|2001年|16mm

監督:アンドレス・ファイエル

1989年に暗殺されたドイツ銀行の有力者ヘアハウゼンと、その事件の犯人とされたドイツ赤軍メンバーのグラムス。ナチのエリート教育を受けたヘアハウゼンと父親がナチの親衛隊で東ドイツからの避難民だったグラムス。70~80年代の西ドイツの政治的対立を象徴する同事件に、戦前、戦後のドイツの状況が絡み合う。

■監督情報

アンドレス・ファイエル
Andres Veiel


1959年、ドイツのストゥットガルト生まれ。ベルリン自由大学で心理学を学ぶ傍ら、クシシュトフ・キェシロフスキの監督コースで映画制作を学ぶ。1992年、ドキュメンタリー『Winternachtstraum』でデビュー。イスラエルの劇団を追った『Balagan』(1994年)、自殺が未遂に終わった同級生を取材した『Die Überlebenden』(1996年)など立て続けに作品を発表。2001年に公開した『ブラック・ボックス・ジャーマニー』は、世界中の映画祭で上映され、大きな成功を収めた。その後も精力的に制作を続け、ヨーゼフ・ボイスについてのドキュメンタリー、『Beuys』(2017年)は、第67回ベルリン国際映画祭で上映された。


■入れ替えなし
■上映作品は日本語字幕付き

■料金

一般=1500円
学生/シニア=1300円
アテネ・フランセ文化センター会員==1000円

■会場&お問い合わせ

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
TEL. 03-3291-4339

■主催

アテネ・フランセ文化センター