マイナードイツ映画(発掘)講座
第7回:『死が二人を別つまで』

2018年8月25日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

渋谷哲也氏による、日本未公開のドイツ映画を日本語字幕付きで上映・解説する連続講義。第7回目は、ハイナー・カーロウの東ドイツ国内で大きな議論を呼んだ問題作『死が二人を別つまで』を取り上げる。

ハイナー・カーロウ監督は1990年東欧映画祭で来日した。その際の上映作『カミングアウト』は、東ドイツで同性愛を真正面から取り上げただけでなく、それを抒情的な恋愛劇として描いたことも衝撃的だった。カーロウ監督はメロドラマ映画の持つ体制倒壊的なインパクトの体現者ではなかろうか。そして今回の上映作『死が二人を分かつまで』は、おそらくファスビンダーの『マルタ』に匹敵する結婚生活の熾烈な闘いを描いた名作である。それをマイナー映画と位置付けるのは甚だ心苦しくはあるが、西側のスタイルに比べてある意味で極めていびつな作品構造と心理描写を伴ったこの作品は、東ドイツ映画産業におけるプロパガンダと検閲の葛藤を刻印する貴重な記録として、その「マイナー」性に注目すべきだと思うのだ。

渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

■上映スケジュール

8月25日(土)

17:00 上映『死が二人を別つまで』(96分)
18:45 解説講義:東ドイツ映画の歴史的変遷(講師:渋谷哲也)

■上映作品

死が二人を別つまで
©DEFA-Stiftung/
Waltraut Pathenheimer

死が二人を別つまで
Bis dass der Tod euch scheidet
96分|1979年|デジタル上映

監督:ハイナー・カーロウ
撮影:ユルゲン・ブラウアー
出演:カトリン・ザース、マーティン・ザイフェルト、アンゲリカ・ドムレーゼ

若いカップルのイェンスとゾーニャは、結婚式を迎え、子供も生まれて一見幸せの絶頂だった。ゾーニャは出産休暇から仕事への復帰をのぞむが、母親は子育てに専念するべきだとみなすイェンスは反対し、ふたりはぶつかるようになる。やがて、ゾーニャが働きに出たことにより、ふたりの衝突はさらに激しくなって行く。実話に基づく映画化。

■監督情報

ハイナー・カーロウ
Heiner Carow


1929年、ドイツのロストック生まれ。1950年にDEFAの指導クラスに参加し、ドキュメンタリーや子供向け映画を数多く手がける。『パウルとパウラの伝説』(1973年)の東ドイツ国内の記録的ヒットによりカルト的な地位を確立。同性愛と偏見の問題を扱った『カミングアウト』(1989年)は第40回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞し、多くの国際的なLGBTフェスティバルに招待されている。その後は主にテレビに活躍の場を移した。1997年死去。


■入れ替えなし
■日本語字幕付き

■料金

一般=1500円
学生/シニア=1300円
アテネ・フランセ文化センター会員==1000円

■会場&お問い合わせ

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
TEL. 03-3291-4339

■主催

アテネ・フランセ文化センター

■協力

Deutsche Kinemathek –
Museum für Film und Fernsehen