リュック・ムレ・コレクション vol.2
Rétrospective Luc Moullet # 2
2013年10月5日(土)-10月11日(金)(7日間)
会場:渋谷アップリンク
知られざるヌーヴェル・ヴァーグ、リュック・ムレ。初期作品を上映した2月の特集に引き続き、今回は中期3作品を特集。
リュック・ムレは、ブニュエルとタチの両者を継承するおそらく唯一の存在だ。
ジャン=マリー・ストローブ(映画作家)
『ブリジットとブリジット』『密輸業者たち』『ビリー・ザ・キッドの冒険』といった初期作品で探求されたムレの「乏しさの詩学」は、70年代後半から80年代後半にかけて撮られた『カップルの解剖学』『食事の起源』『労働喜劇』からなる中期作品でさらに徹底される。初期作品を視覚的に特徴づけていたロングショットやポップ感は影をひそめ、代わりに映画作家自らの姿とその生活(性、食、労働)への批評的な眼差しが前景化される。この変化は68年以後のフランス社会に漂う閉塞感を反映したものかもしれない。また中期作品において注目すべきは、映画を除くムレの情熱の二大対象である自転車と登山への愛が表明されていることだ。それは90年代以後の後期作品においてより明確な形を表すことになる。
葛生賢(映画作家・映画批評家)