工事現場で働くコーリャ、たまたま旅行でやってきたワロージャ、結婚式を控えたコーリャの親友サーシャ、そしてデパートの売り子アローシャの四人を中心に、青春を謳歌するモスクワの若者たちをみずみずしく描き出す。当時18歳だったニキータ・ミハルコフの映画俳優デビュー作。
医学部を卒業したベンジャミンは、故郷へ戻って開業するが、なかなか患者が集まらない。お気楽弁護士と比較し自分の人生を嘆く彼の裏で、姉が良家の娘と結婚させようと画策する。フランスのユーモア作家クロード・ティリエ「バンジャマンおじさん」の舞台をグルジアに移し、宴会と踊りに満ちた吞気なグルジアの暮らしを描いた喜劇。
翻訳家兼大学講師のブズイキンは、妻と愛人の板挟みになっている。仕事でも私生活でも、誰にでもいい顔をして表面を取り繕おうとするが、あらゆるところで破綻が始まる。仕事先では信用を失い、恋人には愛想を尽かされ、妻にも見放され……。名優バシラシヴィリを主役に据えて作られた哀愁あふれる喜劇。
ウクライナ在住の異色女流監督の叙情的な初期代表作。非教条的なため、旧ソ連当局に封印され、87年に初公開。技術翻訳者で生計を立てるシングルマザー。彼女の16歳の息子が反発し、別れた父との新生活を夢見るが、母は煩悶する。斬新なカットや音の使い方など、ムラートワ特有の映像スタイルが光る監督第二作。
文豪コロレンコの中編「悪い仲間」を映画化。母を亡くしたばかりの判事の息子、ワーシャ。孤独から街をさまよっている時に知り合った、浮浪児の兄妹との魂の交流を鮮烈に描きだす。当局により一部カットを余儀なくされたことから、ムラートワが自らの監督クレジットを外した、いわくつきの作品。
田舎の駅で途中下車したピアニストのプラトンは、ウエートレスのヴェーラから食い逃げと勘違いされたことを契機に、徐々に親密になっていくが、それぞれに妻や恋人がいる。くわえてプラトンは、交通事故の罪を着せられて、刑務所に行くことに……。ミハルコフら有名俳優の競演によるメロドラマ。
ロシアの劇作家オストロフスキーの同名戯曲を映画化。19世紀末期、ボルガ湖畔にたたずむ町ブリヤヒモフの没落貴族の未亡人オグダーロワは長女、次女を持参金なしで嫁に出すことに成功し、三女ラリーも同じく持参金なしで良家に嫁がせることを企む。一方で、ラリーは優雅な商人パラートフに惹かれて行く。
19世紀前半、若き貴族アンドレイ、その親友のピエール、若く美しいナターシャの三人を中心に、帝政ロシアの運命を賭けた激戦に翻弄されながらも逞しく生きていく様子を描く。トルストイの代表作を映画化した大作で、タバコフはニコライ・ロストフ伯爵を演じる。本特集では<総集編>として、6時間半を越すオリジナル版を4時間におさめたヴァージョンを上映。
のどかな村出身のオブローモフ(タバコフ)は、ペテルブルグに移り住んで12年が経つが、一日中部屋に閉じこもり、外出しない生活を送っていた。幼なじみのシュトーリツは、30歳を過ぎようとして寝てばかりいるオブローモフの生活態度を変えようと知人の娘オリガを紹介したことから、これまでの彼の生活に変化が生じる。
田舎からモスクワに出てきた三人の女性。一人は良妻賢母を夢み、一人は軽薄に流行を追う。最後のカーチャは上昇志向が強く、有名なスポーツ選手と結婚するが、結局は破綻してしまう。やがて、工場長になったカーチャの前に新たな恋の相手(タバコフ)が現れ…。現代女性の生きざまを描き、ソ連で絶大な人気を博したメロドラマ。