エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督特集
Erich von Stroheim
In memory of Nagaharu Yodogawa

2018年11月12日(月)
会場:アテネ・フランセ文化センター

巨匠エリッヒ・フォン・シュトロハイムの代表作3本を一挙上映。 1985年12月14日に草月ホールで行われた「エリッヒ・フォン・シュトロハイム生誕百年祭」の時に使用した16㎜プリントによるサイレント版での上映です。

「(今回上映するプリントは)ザラザラのフィルムで汚くてカットだらけだけど…本当の美術」淀川長冶

「シュトロハイムの映画、どのシーンもどのシーンも映画の本当の美術。それを皆さんは今日ご覧になって、『愚なる妻』と『アルプス颪』と『グリード』、最高ですね。ザラザラのフィルムで汚くてカットだらけだけど…」
(1985年12月14日草月ホールでの講演より)

■上映スケジュール

11月12日(月)

15:00 『アルプス颪』(93分)
17:00 『愚なる妻』(99分)
19:00 『グリード』(128分)

■作品解説

アルプス颪

アルプス颪
Blind Husbands
(1919年/93分/16mm/
モノクロサイレント/18fps)
大正9年2月21~27日、金春館封切り

監督:エリッヒ・フォン・シュトロハイム
出演:エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ギブソン・ゴーランド

シュトロハイム初の監督作品。第一次対戦後、敵国軍人の脇役俳優の仕事をなくしたシュトロハイムは、自ら執筆した脚本の売り込みに成功。1919年4月から6月までビッグ・ベア湖で撮影された本作で脚本家・監督としてのデビューを果たした。
北イタリアのアルプスのリゾート地。シュトロハイム扮するオーストリア軍中尉は、登山好きの米国人外科医とその美しい妻に巧みに近づき、妻を誘惑した後、医師と二人でアルプス高峰の登頂を目指す。

愚なる妻

愚なる妻
Foolish Wives
(1921年/99分/16mm/
モノクロサイレント/20fps)
大正12年2月1~21日、日本館封切り

監督:エリッヒ・フォン・シュトロハイム
出演:エリッヒ・フォン・シュトロハイム、モード・ジョージ

一次大戦直後のモンテカルロの写実的なセット建設が1920年4月に始まり、同年7月から11か月かけて撮影された破格の制作費の超大作。シュトロハイム扮するロシアの偽伯爵は、二人の偽貴婦人と組み、富裕層の婦人を誘惑し大金をだましとってきたが、新たにアメリカ特使夫人を誘惑する。監督編集版は6時間半あったが、117分の短縮版(10巻版)で公開された。今回上映するのは、更に短い8巻版である。

グリード

グリード
Greed
(1924年/128分/16mm/
モノクロサイレント/20fps)
大正15年11月5~11日、邦楽座、東京館封切り

監督:エリッヒ・フォン・シュトロハイム
出演:ギブソン・ゴーランド、ザス・ピッツ

フランク・ノリスの自然主義小説『マクティーグ』(1899)の映画化。徹底した写実主義を追及し、1923年3 月から10月まで異例の大規模なロケ撮影を敢行した。西海岸生まれの無免許の歯科医であるマクティ-グは患者として来院したトリナという女性と結婚するが、やがて彼女は守銭奴と化していく。平凡な大男が妻の貪欲と闘い苦しみぬく様を描く異色作。監督編集版は7時間半あったが、140分版が公開された。

■監督紹介

エリッヒ・フォン・シュトロハイム
Erich von Stroheim

エリッヒ・フォン・シュトロハイム(1885~1957)は、オーストリア系米国人の映画監督・俳優。ドイツ貴族の称号「フォン(ヴォン)」は自称だが、彼の愛称となった。
妥協のない映画づくりで、しばしば製作会社と対立したが、その特異で徹底したリアリズムは、サイレント映画史上の傑作として高く評価されている。
俳優としては、近未来空想科学軍事劇『飛行水雷』(16)や戦意高揚映画『君國の爲に』(18)などの「アメリカ製反ドイツ映画」でたびたび非人間的なドイツ軍士官の脇役を演じ、「愛すべき憎まれ者」と人気を博した。
脚本・監督し自らが出演した作品に『アルプス颪』(19)、『愚なる妻』(22)、『結婚行進曲』(28)、『アルプスの悲劇』(30)。脚本・監督作品に『悪魔の合鍵』(20)、『グリード』(24)、『メリー・ウイドウ』(25)、『クイーン・ケリー』(29)がある。
初のトーキーとなった『Walking Down Broadway』(32)が最後の監督作で、以後、俳優として活躍。ジャン・ルノワールの『大いなる幻影』(37)、ビリー・ワイルダーの『サンセット大通り』(50)などで存在感を示した。




■上映作品は日本語字幕付き
■各回入替制

■料金
一般=1回券800円(3回券1500円
アテネ・フランセ文化センター会員=
1回券500円

■会場

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4階

■主催

アテネ・フランセ文化センター