佐藤真監督特集2021 その検証と継承
佐藤真×次世代映画作家たち

2021年10月18日(月)―10月23日(土)(6日間)
会場:アテネ・フランセ文化センター

阿賀に生きる

阿賀に生きる

阿賀の記憶

『阿賀に生きる』で世界的な評価を受けたドキュメンタリー映画作家佐藤真(1957―2007)は、実作と理論の両面で、日本のドキュメンタリー映画史に大きな足跡を残した。本特集は、佐藤真の主要な作品と、その影響下に制作された次世代の映画作家の作品を同時上映し、数々の問題を提起して早世した映画作家の検証と継承を目指す試みである。

「事実はそもそもフィクションを内包している」佐藤真(1999年3月執筆)

事実はそもそもフィクションを内包している。たとえ、無垢の事実がそっくり映像に収まったとしても、それを再構築したとたんにフィクションになる。これが、ドキュメンタリー・コースの基本的立場である。 ドキュメンタリー映画の界隈にまとわりつく、教育主義や運動論、精神主義の払拭を橋頭堡にして、ジャンル分け自体を無効にする、ドキュメンタリーの、映画としてのあらゆる可能性に分け入っていこう。フィクションとドキュメンタリーの境界線の波間に揺れ動く映像作家と一緒に、作品批評と実作を通して、その無限の可能性を考えていきたい。その結果は、私的な小宇宙からバーチャルなリアリティをもつメディア界まで、大きな振れ幅をもつだろう。ただその方法論的な可能性も実際は真暗闇の大海原を小舟で漕ぎ出したような暗中模索の中で、映像表現そのものを問い直していくことから始めるしかない。

(1999年3月映画美学校ドキュメンタリー・コース開講時のメッセージより)

お知らせ

新型コロナウイルス感染拡大予防のため、本特集では販売席数を92席に減席いたします。
ご了承のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

アテネ・フランセ文化センター

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■上映スケジュール
※チケットは1本目の上映20分前から当日上映分を販売します。

10月18日(月)

13:00 『阿賀に生きる』(115分)
15:30 『廻り神楽』(94分)
トーク:遠藤協(映画監督)+山内明美(歴史社会学者/『こども東北学』著者)
18:40 『阿賀に生きる』(115分)

10月19日(火)

14:30 『花子』(60分)
16:00 『表現という快楽』『はだしのゲンが見たヒロシマ』(計107分)
トーク:石田優子(映画監督)+飯岡幸子(映像作家/『ヒノサト』監督、『偶然と想像』撮影)
19:30 『花子』(60分)

10月20日(水)

15:10 『SELF AND OTHERS』(53分)
16:30 『未来をなぞる 写真家・畠山直哉』(87分)
トーク:畠山容平(映画監督)+林建太(「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」代表)
19:30 『SELF AND OTHERS』(53分)

10月21日(木)

13:50 『まひるのほし』(93分)
15:50 『牧師といのちの崖』(100分)
トーク:加瀬澤充(映画監督)+諏訪敦彦(映画作家/『Hstory』『風の電話』監督)
19:00 『まひるのほし』(93分)

10月22日(金)

15:20 『阿賀の記憶』(55分)
16:50 『波のした、土のうえ』(68分)
トーク:小森はるか(映像作家)+秦岳志(映画編集者/『阿賀の記憶』『息の跡』編集)
19:30 『阿賀の記憶』(55分)

10月23日(土)

12:00 『エドワード・サイードOUT OF PLACE』(137分)
14:50 『ソレイユのこどもたち』(104分)
トーク:奥谷洋一郎(映画監督)+佐藤零郎(映画作家/『長居青春酔夢歌』『月夜釜合戦』監督)
18:10 『エドワード・サイードOUT OF PLACE』(137分)

■監督紹介

佐藤真 Makoto Sato

1957年、青森県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。大学在学中より水俣病被害者の支援活動に関わる。1981年、『無辜なる海』(監督=香取直孝)に助監督として参加。1989年から新潟県阿賀野川流域の民家で住み込みながら撮影を始め、1992年、『阿賀に生きる』を完成。ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭銀賞など国内外で高い評価を受ける。その後は、日本のインディペンデント・ドキュメンタリー映画の新世代の担い手として、精力的な創作活動を続けた。障害者と表現の問題を追った『まひるのほし』(1998 )『花子』(2001)や夭折した天才写真家牛腸茂雄を考察した『SELF AND OTHERS』(2000)、パレスティナ出身の世界的知識人エドワード・サイードの記憶を辿った『エドワード・サイード OUT OF PLACE』(2005)などの評価も高い。映画理論家としても優れた才能を示し、著書「ドキュメンタリー映画の地平」(2001)は名著として現在も読み継がれている。また教育者として、京都造形芸術大学や映画美学校で教鞭をとり、日本の各地でワークショップも行うなど後進の指導にあたった。2007年没。佐藤真が実作と理論の両面で提起した問題は、現在も多くの人々に注目され、とりわけ次世代のドキュメンタリー映画の作り手たちの指標にもなっている。



【お知らせ】
新型コロナウィルスの感染状況により、開映時間や席数の制限をさせていただく可能性があります。
ご来場にウェブページでご確認いただくか、お問合せ下さいますようお願い申し上げます。

■各回入れ替え制

■料金

[1回券]
一般=1500円
シニア・学生=1200円
アテネ・フランセ文化センター会員=900円

[2回券]
一般=1800円

チラシのダウンロードはこちら

佐藤真監督特集2021

佐藤真監督特集2021

■お問い合わせ・会場

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339(13:00-20:00)

■主催

アテネ・フランセ文化センター
アテネ・フランセ文化センター

■共催

映画美学校
映画美学校