追悼、ジョスリーン・サアブ
In Memory of Jocelyne Saab

2019年5月18日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

レバノンを代表する女性監督、ジョスリーン・サアブが2019年1月に逝去されました。
彼女の三作品を上映すると同時に、生前親交のあった映画研究者の四方田犬彦氏をお迎えし、彼女の映画監督としての側面だけでなく、様々な活動について振り返っていただきます。

恐怖が見世物となるとき、人は詭計に陥るのだ。すでにして苦しみの大地の観光客。同情は苦悩の比べ物にならない。爆撃された建物の残骸の前には大きな亀裂がある。それは目にするもののために泣く者と、もはや目にできないものに涙する者とを隔てるものだ。

ジョスリーン・サアブ(『わが町、ベイルート』)

■上映スケジュール

5月18日(土)

13:10 『ドゥニヤ』(110分)
15:30 『戦争の子供たち』『わが町、ベイルート』(計48分)
16:30 トーク「ジョスリーン・サアブの生涯と情熱」
四方田犬彦(映画研究者)

■上映作品

戦争の子供たち
Les enfants de la guerre/ The Children of War
1976年/10分/16mm(日本語字幕なし、資料配布)
監督:ジョスリーン・サアブ


ベイルート近郊で起こった虐殺現場を訪れ、生き残った子供たちにカメラを向ける。彼らは目の前で展開された残虐なシーンを繰り返し再現する。レバノン内戦における若い犠牲者たちの過酷な現実を描き出す、初期の短編ドキュメンタリー。

わが町、ベイルート
Bayrouth, Ma Ville / Bayrut, My City
1982年/38分/デジタル
監督・脚本:ジョスリーン・サアブ
テキスト:ロジェ・アッサーフ
音楽:ラフィーク・ブスターニー


サアブが破壊された自宅に立ち、状況を伝えるシーンから始まる。空爆により150年の家の歴史もサアブが暮らした痕跡も、跡形もなく消えた。サックスの調べとともにロジェ・アッサーフのテキストが続き、負傷者、廃墟、空爆、鳴り響く銃声、町を走る装甲車、難民キャンプの惨状が映し出される。この映画は、失われたベイルートを記憶し続けるというサアブの強い意志表明でもある。

デュニア

ドゥニヤ
Dunia (Kiss Me Not On The Eyes)
2005年/110分/35mm
監督・脚本・原案:ジョスリーン・サアブ
撮影:ジャック・ブキャン
出演:ハナーン・トルク ムハンマド・ムニール ファトヒー・アブドゥルワッハーブ

エジプトのカイロでイスラム神秘主義と舞踏を学ぶドゥニヤは、多くの悩みを抱えながらプロの舞踏家を夢見ている。コンテストの準備中に不思議な魅力を持つベシル博士に出会った彼女は、社会の因習に囚われながらも、舞踏を通じて自らを解放しようとする。イスラム社会における女性の社会的地位やアイデンティティを、近代的社会の中で模索する野心的な作品。この作品の女子割礼への言及がきっかけで、監督はエジプト政府に拘束されるなどの困難を体験した。

■監督情報

ジョスリーン・サアーブ

ジョスリーン・サアブ
Jocelyne Saab


1948年ベイルート生まれ。レバノンでの戦地レポーターを経て、1975年に初の長編ドキュメンタリー作品、『騒乱のレバノン』を監督し、注目を集める。1981年、フォルカー・シュレンドルフがレバノンの戦地を舞台にした『偽造者』の助監督を務める。翌年、イスラエル軍のレバノンへの侵攻を描いた『わが町、ベイルート』や、ベトナムのドキュメンタリー『サイゴンの淑女 ホア医師』を作るなど精力的に活動する。1985年には、ベイルート中心部で撮影した初の劇映画『SUSPENDED LIFE』がカンヌ国際映画祭で上映された。1991年には映画誕生100年を記念し、レバノンのシネマテークから援助を受け、レバノンの映画史をたどる『昔々ベイルートで』を監督する。2007年にはカメラマンとして活動を開始。世界中で展覧会を開催。その後も、インスタレーションの展示や、学生への指導など活動は多岐にわたった。2019年1月7日逝去。


■入れ替えあり
■『わが町、ベイルート』『ドゥニヤ』は日本語字幕あり

■料金

一般=1500円(1日券=2500円)
学生/シニア=1300円
アテネ・フランセ文化センター会員=
1000円(1日券=1800円)

※当日券をお持ちの方はトークまでご参加いただけます。

■会場&お問い合わせ

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
TEL. 03-3291-4339

■主催

アテネ・フランセ文化センター

■協力

Jocelyne Saab