クラウス・ウィボニー レトロスペクティヴ 作品解説
※題名の横に「*」が付いている作品はアテネ・フランセ文化センターで上映。

西洋の没落のためのエチュード

西洋の没落のためのエチュード
STUDIEN ZUM UNTERGANG DES ABENDLANDS

1979-2010年(80分/スーパー8→デジベータ/台詞なし)
制作・監督・撮影・録音・編集・音楽:クラウス・ウィボニー

オズワルド・シュペングラーの著書「西洋の没落」に想を得て、ニューヨーク、ルール、ハンブルグ、東アフリカ、リミニにおいてスーパー8カメラで撮影した6299カットの映像で作られた5部構成のインダストリアル・ランドスケープ・ムービー。工業地帯、都市、荒廃した自然の風景が赤青溶暗のうちに現れては消えていく映像を自作の曲が彩る。

シラクサ

シラクサ
SYRAKUS

2004-2012年(77分/デジベータ) 制作・監督・撮影・録音・編集:クラウス・ウィボニー
朗読:ドゥルス・グリューンバイン

2004年以来続いている詩人ドゥルス・グリューンバインとのコラボレーション作品。古代と現在を重ね合わせる詩人自身による朗読と、ローマ、ペルージャ、クーマエ、シラクサ、マルティニー、リミニ、ファノ、スニオン岬、アテネの風景で構成された作品。

オープン・ユニバース

オープン・ユニバース*
DAS OFFENE UNIVERSUM

1986-90年(91分/35mm)
制作・監督・脚本・撮影・音楽・編集:クラウス・ウィボニー
出演:ティルダ・スウィントン、ハンス・ツィシュラー、クリストフ・ヘンマーリング

若い船員ロバート(クリストフ・ヘンマーリング)はアカプルコでフランク(ハンス・ツィシュラー)とカーラ(ティルダ・スウィントン)というカップルと出会い、彼らに雇われてフィジーへの船旅に出る。コミカルな宇宙論のイントロから始まり、破局的な海洋ラブストーリーと瞑想的なランドスケープ・ムービーの映像と監督によるナレーションとアンビエント・ミュージックが音楽的に交錯する。ニューヨーク近代美術館(MOMA)所蔵作品。

想像の美術館−モネのためのエチュード

想像の美術館−モネのためのエチュード*
IM IMAGINAREN MUSEUM - STUDIEN ZU MONET

2004-2014年(103分/DCP)
制作・監督・撮影・録音・編集:クラウス・ウィボニー
出演:マイケル・スノウ

1882年から1897年にかけて画家クロード・モネによって描かれた北ノルマンディーの避暑地プールヴィルの風景画群を、現在もほとんど変化していないという実際の海岸の映像と重ね合わせる試みと、ジェリコー、デュシャンの絵画、風景を扱った実験映画の巨匠マイケル・スノウへのオマージュ、ウィボニー監督の友人でもあった故ハルン・ファロッキ監督に捧げられたフィルムエッセイでもある作品。