ピレネー出身の女の子とアルプス出身の女の子が上京先のパリで偶然出会う。彼女らは外見だけでなく名前まで一緒だった。意気投合したふたりは、一緒に大学生活を満喫しようとするのだが……。ムレの長編デビュー作。フラー、ロメール、シャブロルらが友情出演。
架空の国境地帯で「現代に残された最後の冒険=密輸業」に携わるひとりの男とふたりの女の三角関係と、彼らを摘発しようとする「密輸業組合」と「税関」との三つ巴の攻防を、荒寥とした山岳地帯を背景にコミカルに描く。
ジャン=ピエール・レオー主演の脱構築西部劇。荒涼とした空間に配置されるミニマルな西部劇的記号。それをレオーの演技が異化する。グリフィスの名言「映画とは女と銃だ」をもじり、英題は「女は銃だ」。粗雑な英語吹替にムレのB級映画趣味が表れている。
パートナーで共同監督のアントニエッタ・ピゾルノとの性生活の悩みに基づく擬似ドキュメンタリー風コメディ。ムレが自作で初主演。前作『ビリー・ザ・キッドの冒険』のヒロイン、ラシェル・ケステルベールが相手役を演じる(変名でクレジット)。ジャリ的な自転車への偏愛にも注目。
食の流通の問題をムレ一流の語り口で分析するドキュメンタリー。食料生産に携わるフランスと低開発国の労働者の比較を通じて、搾取しているのは資本家ばかりとは限らないという真実が明らかになる。第三世界の搾取への批判の眼は最後には自らの映画作りに向けられる。
登山好きの「プロの失業者」に職安の有能な女性職員が恋をする。彼女が彼の気を引くために、失業中の元銀行マンの就職口を奪ったことで起る悲喜劇。ヒロインのサビーヌ・オードパンは以後ムレ作品の常連となる。職安所長役に映画批評家のミシェル・ドラエ。ジャン・ヴィゴ賞受賞。