リュック・ムレ・コレクション/上映作品解説

ブリジットとブリジット

ブリジットとブリジット

Brigitte et Brigitte
1966年(75分)※デジタル上映

監督・脚本/リュック・ムレ
撮影/クロード・クレトン
出演/フランソワーズ・ヴァテル、コレット・デコンブ

ピレネー出身の女の子とアルプス出身の女の子が上京先のパリで偶然出会う。彼女らは外見だけでなく名前まで一緒だった。意気投合したふたりは、一緒に大学生活を満喫しようとするのだが……。ムレの長編デビュー作。フラー、ロメール、シャブロルらが友情出演。

密輸業者たち

密輸業者たち

Les Contrebandières
1967年(76分)※デジタル上映

製作・監督・脚本/リュック・ムレ
撮影/フィリップ・テオディエール
出演/フランソワーズ・ヴァテル、モニーク・ティリエ

架空の国境地帯で「現代に残された最後の冒険=密輸業」に携わるひとりの男とふたりの女の三角関係と、彼らを摘発しようとする「密輸業組合」と「税関」との三つ巴の攻防を、荒寥とした山岳地帯を背景にコミカルに描く。

ビリー・ザ・キッドの冒険

ビリー・ザ・キッドの冒険

A Girl Is a Gun (Une Aventure de Billy le Kid) 
1971年(77分)※デジタル上映

製作・監督・脚本/リュック・ムレ
撮影/ジャック・フローリ、ジャン・ゴネ
出演/ジャン=ピエール・レオー、ラシェル・ケステルベール

ジャン=ピエール・レオー主演の脱構築西部劇。荒涼とした空間に配置されるミニマルな西部劇的記号。それをレオーの演技が異化する。グリフィスの名言「映画とは女と銃だ」をもじり、英題は「女は銃だ」。粗雑な英語吹替にムレのB級映画趣味が表れている。

カップルの解剖学

カップルの解剖学

Anatomie d'un rapport
1976(79分)※デジタル上映

監督・脚本/リュック・ムレ、アントニエッタ・ピゾルノ
撮影/ミシェル・フルニエ
出演/リュック・ムレ、クリスティーヌ・エベル

パートナーで共同監督のアントニエッタ・ピゾルノとの性生活の悩みに基づく擬似ドキュメンタリー風コメディ。ムレが自作で初主演。前作『ビリー・ザ・キッドの冒険』のヒロイン、ラシェル・ケステルベールが相手役を演じる(変名でクレジット)。ジャリ的な自転車への偏愛にも注目。

食事の起源

食事の起源

Genèse d'un repas
1979(112分)※デジタル上映

監督/リュック・ムレ
撮影/リシャール・コパン、ギー=パトリック・サンデリッシャン

食の流通の問題をムレ一流の語り口で分析するドキュメンタリー。食料生産に携わるフランスと低開発国の労働者の比較を通じて、搾取しているのは資本家ばかりとは限らないという真実が明らかになる。第三世界の搾取への批判の眼は最後には自らの映画作りに向けられる。

労働喜劇

労働喜劇

La comédie du travail
1988(90分)※デジタル上映

監督/リュック・ムレ
撮影/リシャール・コパン
出演/サビーヌ・オードパン、ロラン・ブランシュ

登山好きの「プロの失業者」に職安の有能な女性職員が恋をする。彼女が彼の気を引くために、失業中の元銀行マンの就職口を奪ったことで起る悲喜劇。ヒロインのサビーヌ・オードパンは以後ムレ作品の常連となる。職安所長役に映画批評家のミシェル・ドラエ。ジャン・ヴィゴ賞受賞。