美しく官能的な身体性、オペラを思わせる様式性、知的かつ感覚的なモンタージュを駆使する映像。それらがミニマルな空間で展開する。それぞれ別の文化的背景を持つ9つのパートから構成された、シュレーターの名を世界に知らしめた野心作。
ヒトラーから、西ドイツ初代連邦首相であるアナデウアー時代への移行期。歌手で菓子屋のカルラ、教会の壁画修復家で高等学校教師のマグダレーナ、ダンサーのマーシャ。三人の女性が流産、ヒトラーの死、神経衰弱による鬱々とした生活を変えるため、アメリカへと旅立つ。
実在したオペラ歌手、マリア・フェリシタ・マリブランをモデルとしたこの作品は、従来の映画様式を排除し、美的表現を追求した、シュレーターの代表作の一つである。マリブランを演じるのはシュレーター作品のミューズ、マグダレーナ・モンテツマ。
マリリン・モンロー死後10年の節目に、彼女のイメージを作ろうと試みた作品。カリフォルニアの小さな町、ウィロー・スプリングスにある一軒家に住むマグダレーナ、クリスチーネ、イラ。彼女たちはある男を誘惑し奴隷にするが、イラが彼に好意を持ち駆け落ちを計画する。
1978年10月7日、「ナポリ王国」上映後に舞台上で質問に答えるシュレーターの様子を捉えたドキュメンタリー。
シュレーター初の35mm作品であり商業映画。ナポリのマリネッラ通りに住む貧しい人々は互いに助け合いながら暮らしていた。ドイツ軍がナポリから退却した1944年から76年までを、歴史的側面と物語側面を相互に映し出しながら、登場人物たちの人生を描く。
主人公のキャロルは見知らぬ人物がテロリストであるという妄想に取り付かれ、警察に何度も通報し、それが元で精神病院に入院させられる。様々な患者たちが思い思いに過ごす病院に馴染めない彼女は、自殺騒動の中こっそりと病院を抜け出すことに成功する。