風と共に散る

Written on the Wind 1956年(99分)

監督/ダグラス・サーク

プロデューサー/アルバート・ザクスミス 原作/ロバート・ワイルダー 脚本/ジョージ・ザッカーマン 撮影/ラッセル・メティ 音楽/フランク・スキナー 美術/アレキサンダー・ゴライツェン ロバート・クラットワーシー

出演/ロック・ハドソン(ミッチ・ウェイン) ローレン・バコール(ルーシー・ムーア) ロバート・スタック(カイル・ハードリー) ドロシー・マローン(メリーリー・ハードリー) ロバート・キース(ジャスパー・ハードリー)

(あらすじ)
 ハドリ一家はテキサスの石油会社を持つ富豪であった。創設者ジャスパート、その息子カイル、娘メリーリーの3人が豪邸に住んでいた。ミッチ・ウェインは幼少の頃からハドリ一家と親しく、ジャスパーは息子以上に彼に信頼を置き、会社の実質担当を任せていた。
 ニューヨークの広告会社を背負うようで訪ねたミッチは、ルーシー・ムーアに出会い、ミッチは心惹かれる。親友であるカイルにルーシーを紹介するミッチだが、カイルもまた彼女を好きになり、強引にアプローチを行う。自家用飛行機でのマイアミ旅行、ホテルのスウィートルームのクロゼットに一杯のドレス……。
 しかし彼女は戸惑って、こっそりとニューヨークへ帰ろうとする。それを引き留めるカイルは真剣にプロポーズし、彼女は受け入れる。新婚旅行の後に、ルーシーは初めてジャスパーとメリーリーに会うが、ハドリ一家には言い知れぬ影のようなものがあった。
 優しい義父と対照的にメリーリーは素気なかった。またカイルには寝る際、枕の下に銃を置く癖とアルコール依存の傾向があったが、ルーシーと結婚してからは直っていった。メリーリーは子どもの頃からミッチとの結婚を心に決めていたが、ミッチにとって彼女は妹のようなもので、とても結婚相手としてみることができなかった。また彼は、今でもルーシーに密かに焦がれてもいた。
 そんなミッチの態度からか、メリーリーの生活は荒れていった。その日も中年男をバーで誘惑して、店主の通報で駆けつけたカイルとミッチ、そして男との間で乱闘となる。再び自分の気持ちを告白するメリーリーを、ミッチはまたもはねつける。自棄になった彼女はガソリンスタンドの若い店員を誘惑するが、補導されてしまう。ジャスパーは怒り心頭に達するが、メリーリーの素行を知るに及んで、激しく憤る。銃を握るジャスパーを止めるミッチ。一方メリーリーは自分の部屋にこもって、真っ赤なガウンを羽織り、けたたましいルンバに会わせて狂ったように踊っていた。まさにその時、階段では父ジャスパーがあまりの興奮のため急死してしまう。父の死に加え、主治医から生殖機能に問題があるため、子供ができないかも知れないと聞かされるカイルは、再び酒に溺れていく。妹メリーリーはミッチとルーシーを引き離そうと、ミッチとルーシーの浮気をでっち上げ、カイルにほのめかし、彼はますます落ち込んでいく。
 ある日、ミッチはルーシーに自分の想いを告白する。彼は既に外国の石油会社への就職と、そのためのイラン行きを決めていたのだ。しかしルーシーは自分が夫の子を宿していることを告げ、医者の見解が事実でなかったというのだった。その夜、ミッチ、ルーシー、メリーリーの3人が屋敷で食事をしていると、泥酔したカイルが帰ってくる。カイルと2階に上がるルーシーは妊娠を告げるが、カイルはミッチの子供だと思い込み半狂乱となる。悲鳴を聞き2階へ駆けつけたミッチは、殴られて床にうずくまっているルーシーを見て激怒し、半狂乱のカイルを殴って追い出す。家から飛び出すカイルに向かって、「今度会ったときは殺す。」と叫ぶミッチ。ルーシーは流産した。
 カイルはバーへ行き、店主に銃をせがむが断られ、酔いながら車で屋敷へ帰ってくると、狂ったように銃を捜す。亡きジャスパーの書斎に隠していた銃を見つけたちょうどその時、ミッチが入ってきて、銃口はミッチへと向けられる。「お前のせいで俺は父や妹に見下され、女房まで寝取られた」とカイル。2人の息詰まるやりとりの間、メリーリーはそっと兄の背後に忍び寄り銃を奪おうとする。が、揉み合いとなり、銃はカイルの胸に発砲され、カイルは絶命する。
 裁判の証言は、全てにおいてミッチに不利であった。しかもメリーリーは自分と結婚しない限り、裁判ではミッチが兄を殺したと証言すると、ミッチを脅していた。いよいよ証言台に立つメリーリー。だがしかし、途中で証言をくつがえして真実を語り出すのだった。
 ミッチとルーシーは新しい人生を共に歩むべく、屋敷を去る。メリーリーは一人孤独に屋敷にある亡き父の肖像画の下で、石油プラントの模型を虚しく握り、泣き崩れた。