決闘ウェストバウンド

Westbound 1958年(72分)

監督/バッド・ベティカー

原作/ベーン・ギラー 脚本/ベーン・ギラー アルバート・レヴィーノ

出演/ランドルフ・スコット(ジョン・ヘイス) マイケル・ダンテ(ロッド・ミラー) カレン・スティール(ジーニー・ミラー) マイケル・パットナム(メイス) アンドリュー・ダガン(クレイ・パットナム) ジョン・ダーハイム(ラス) ヴァージニア・メイヨ(ノーマ・パットナム)

(あらすじ)
 1864年、膠着状態にあった南北戦争において物資の輸送は重要な課題であった。北軍はカリフォルニアから3000マイルの危険な地域を横断して物資、弾薬、そして軍資金を輸送。南軍はそれを阻止せしめんとする。勝敗はあやういバランスのもとにあった。
 まさにその時節、北軍大尉ジョン・ヘイスは駅馬車運行の管理者に任命される。任務に就くため乗った駅馬車で、退役した青年ロッド・ミラーと知り合う。彼は負傷により片腕である。彼にいやがらせを仕掛けた駅の主人をヘイスがやりこめるなどの出来事があり、彼らは親しくなる。
 ロッドを、待っていた妻ジーニーが迎える。その仲睦まじさを見届け、再会を約してヘイスは目的地を目指し、いましばらく駅馬車に乗る。そして、ついに任地コロラド州ジュールズバーグ。
 町にはなにやら剣呑な空気が漂う。馬車駅であるパレス・ホテルも看板をしまい込み、その軒先には得体の知れないならず者たちがたむろしている。ヘイスはホテルのオーナーであるクレイ・パットナムに面会するが、パットナムは南部連合側の人間であり、ヘイスひいては北軍に協力する気がない。むしろ妨害する腹づもりで悪党どもを雇い入れている。ヘイスと、パットナム配下のガンマンであるメイスの小競り合いが起きる。その場ではメイスのほうがが一枚上手な銃さばきを見せつけ、住民たちは不安がる。パットナム夫人のノーマが馬車で乗り付け、夫とともに出かけてゆくが、ヘイスに気づく。ノーマとヘイスはかつて恋人であったのだ……。
 町にミラー夫妻がやってくる。南軍の軍服ゆえに住民たちに拒絶され、それに便乗した悪漢たちに煩わされているところ、ヘイスが雇われガンマンのひとりラスを殴り倒して夫妻を助ける。ヘイスはミラー夫妻の家に招かれて共に夕食。食後、ロッドに片腕での銃の扱いをアドバイスする。ジーニーはそれが心配でもあるが、心の張りを取り戻しつつある夫の姿を喜ぶ。
 悪党たちが馬車駅を襲い、飼っている換え馬を奪う。穏やかでない状況にヘイスは自らも駅馬車に乗り込むようにする。
 ヘイスはミラー夫妻の牧場を馬車駅にし、ロッドに協力者として働いてくれるよう頼む。喜んで引き受けるふたり。
 各駅を巡回しにいくと、かつてロッドにいやがらせをした馬車駅の主人が逃げ出すところに出くわす。やがて、雨のなか、つきとめた悪者たちのアジトに奇襲をかけるヘイスとロッド。ロッドは見事なライフルさばきでヘイスを援護し、彼らは馬の奪還に成功。
 ヘイスはパットナムを訪ねるが留守で、ノーマが迎える。語るうちに親愛の情がよみがえるふたりであったが、そこにパットナムが帰宅。パットナムの敵対感情がまた一段と濃くなる。
 実におしどりめいたロッドとジーニーのミラー夫婦、そのかたわらでくつろぐヘイス。平和な夜、と思いきやそこに襲撃。いきなりロッドが撃たれ、撃ち合いが始まる。反撃の銃弾でラスが死ぬ。退いたメイスはそのままパットナムのところに立ち寄る。もはや事態はパットナムの駆け引きやコントロールの及ばぬ、硝煙と血に満ちた領域に移行しつつある。ノーマは彼らのやりとりを階上から聞く。
 翌日、医師がヘイスにロッドの傷が重いことを告げる。ノーマが見舞いに訪れ、ジーニーと対面するが、歓迎されるわけもない。
 ……子供連れの一家が乗った駅馬車が出る。それを襲う悪者たち。御者が撃たれ、馬車は横転、転落。乗客は全員死亡。一部始終を目撃した子供がヘイスに事件を伝える。飲んだくれるパットナム、そこへ来るメイス。もはや主従関係も崩壊した。
 夕刻、ヘイスが事故の収拾をつけて戻ると、ロッドが亡くなっていた。ヘイスの胸で涙するジーニー。
 ヘイスは悪党一味に単身攻撃をしかける。闇のなかの銃火、夜の町の銃撃戦。不意にヘイスの背後からの射撃。住民たちが味方してくれていた。酔ったまま馬車で暴れこんだパットナムはメイスに撃たれる。形勢不利と逃げかかる馬上のメイスに放たれる、ヘイスの必殺の一弾! パットナムは自らを悔い、ヘイスに詫びながら息をひきとる。
 ノーマはジュールズバーグから去ってゆく。任務のため馬を駆るヘイスの後ろ姿にそっとあいさつを送るジーニー。彼女は独り、牧場と馬車駅を守ってゆくだろう。