続々大番 怒濤篇

1957年(109分)

監督/千葉泰樹

製作/藤本真澄 脚色/笠原良三 撮影/西垣六郎 音楽/佐藤勝 美術/中古智

出演/加東大介 淡島千景 仲代達矢 原節子 平田昭彦 青山京子 三木のり平 有島一郎

後援者を失い、再びスッテンテンになり、多額の借金まで背負った“ギューちゃん”は、失意のあまり故郷に帰り、百姓になろうと決意。しかし、統制品の値上がりを目にして、闇商売で利益を上げると、今度は大阪・北浜で株取引を再開する。ますます好調なシリーズ第三弾。“おまきさん”役の淡島千景の好演は、獅子文六をして、併行して書かれた原作の“おまきさん”が「淡島化していく」と言わしめたほどであった。

【「大番」四部作】
1956年より雑誌「週刊朝日」に連載されていた獅子文六(1893〜1969)の同名小説を映画化。 四国の寒村から“ギューちゃん”こと赤羽丑之助が裸一貫ならぬ浴衣一枚で上京し、兜町を舞台に株でひと旗あげるまでの立身出世を描いた相場版太閤記である。
獅子文六は戦前に近代劇の翻訳や戯曲を手がけたのち、ユーモア小説で人気を確立。戦後は「てんやわんや」「自由学校」「箱根山」などの小説が続々と映画化されたが、なかでも「大番」は小説でも映画でも日本中を熱狂させた代表作である。 本作が初の本格的主演となる加東大介。彼を支える恋人役の淡島千景。その他、多彩な登場人物たちが登場。彼らの生き生きとした姿、洒脱な会話、そして落差の激しい“ギューちゃん”の波瀾万丈の半生が、千葉泰樹監督の軽妙な演出と明朗なユーモアで描かれる。映画のあまりに過熱する人気に、原作の執筆が追いつかず、映画と原作が併走し、相乗効果を生み出した痛快無比の傑作シリーズである。