アナクロニズムの会

2012年5月17日(木)・6月6日(水)・6月8日(金)

気鋭の映画批評家、研究者らによる連続講演企画です。吉田広明氏の著書「B級ノワール論」におけるキーワード「アナクロニズム」に触発された出席者が、映画史の可能性を解き放つべく、仮説の競演を繰り広げて既成の映画言説を更新していきます。

一本の映画を作ることも、見ることも共に非クロノロジックな時間体験である。撮影された現在は編集を通じて散布される。イメージの知覚とその意義の了解の間にもズレは生じる。そもそも静止画の間に運動を知覚する、映画の原理=仮現運動も、「間=ズレ」があるからこそ生じる事態ではないか。また、複数の映画が作りだす映画史においても、事後的に捏造されたジャンル=フィルム・ノワールの存在に見られるように、過去が現在に、現在が過去に介入し合うことで、常に映画の歴史的総体は組み替えられている。かくのごとく映画(史)の本質である時間のズレの演じる働き=効果を肯定的なものとして、一つ一つの映画の、そして映画史の至る所に見出していこうとすること、これをアナクロニズムと呼びたいと思う。映画における過去、現在、未来をクロノロジーから解放する試み。時間の回路を積極的に短絡させ、鮮やかな火花を散らせよう。
関口良一、吉田広明

■スケジュール

第21回
5月17日(木)
19:30-
講演「レスター・コーニッグと空爆正当映画の系譜」講師:上島春彦(映画批評家)
※18:30から参考試写を覆面上映で行います。

ファシズムから民主主義を守る戦い、第二次世界大戦に馳せ参じる多くの左翼映画人の中でも、レスター・コーニッグの存在は飛びぬけている。ウィリアム・ワイラーの右腕としてアメリカ軍事ドキュメンタリー映画に果たした彼の先駆的役割をたどりながら、彼等左翼人が無差別空爆攻撃の正当性を翼讃するのに力を貸してしまった可能性に言及したい。これは語られざる「ハリウッド・テン」の物語でもあるのだ。(上島春彦)

第22回
6月6日(水)
19:30-
講演「ジョン・カサヴェテスvs.フィルム・ノワール」講師:吉田広明(映画批評家)
※18:00から参考試写を覆面上映で行います。

インディペンデントの雄ジョン・カサヴェテス。彼が主演のTV『ジョニー・スタッカート』(1959—60)は、グリニッジ・ヴィレッジのジャズ・クラブを根城にする探偵が主人公。ニューヨークの路上にカメラが持ち出されるこのTVシリーズで、フィルム・ノワールとインディペンデントが遭遇する。『アメリカの影』を撮ったばかりのカサヴェテスが、いかにノワールに対処したか。『ジョニー・スタッカート』を通し、アメリカ映画の転換期を考える。(吉田広明)

第23回
6月8日(金)
19:00-
講演「エディ・キャンターと榎本健一」講師:濱口幸一(映画研究者)
※17:20から参考試写を覆面上映で行います。

1904年に東京市で生まれた榎本健一が憧れていた(あるいは影響を受けた)と言われるのが、一回り先の辰年1892年にニューヨーク市で生を享けたエディ・キャンター。歌えるコメディアンとして知られる両名の共通点ならびに違いは何か、別な言い方をすれば、エディ・キャンターとは何者か? 奇しくも辰年だけにとどまらず、キャンター生誕年と同じ壬辰の年に迎える、この機会、御参加よろしく。(濱口幸一)



■参考試写は覆面上映になります。題名等のお問い合わせはご遠慮ください。

■会員制
※アテネ・フランセ文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります(当日入会可)
登録料:一般1500円/アテネ・フランセ学生1000円(約1年間有効)

■料金

1回券1000円/3回券2700円

■会場&お問い合せ

アテネ・フランセ文化センター
地図
東京都千代田区神田駿河台2-11 
アテネ・フランセ4F
03-3291-4339(13:00-20:00)

■企画

関口良一
吉田広明

■主催

アテネ・フランセ文化センター

■協力

三品幸博