マイナードイツ映画(発掘)講座
第5回:『ハムレット それはお前たちだ』(ペーター・カーン)

2017年6月17日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

渋谷哲也氏による、日本未公開のドイツ映画を日本語字幕付きで上映・解説する連続講義。第5回目は、俳優としても第一線で活躍を続けたペーター・カーンがクリストフ・シュリンゲンズィーフの舞台公演の裏側に迫った『ハムレット それはお前たちだ』を上映します。

今回の上映作は戦後ドイツ映画の偉大な挑発者2人いや3人(3人目は出演者を見ればピンと来るはず)に焦点を当てている。
ダニエル・シュミット俳優として知られるペーター・カーンは超低予算映画の王道を行く映画作家であり、しかも本作では舞台上で堂々たるプロ俳優の貫禄も見せる。一方シュリンゲンズィーフは映画から舞台パフォーマンスに活動場所を移し、まさに水を得た魚のように人々を論争の渦に巻き込む。そんな両者がタッグを組み、欧州に吹き荒れるネオナチと排外主義の問題を過激かつ美的な『ハムレット』上演に組み込んだ。
カーンの皮肉な哄笑が聞こえてくるこの映画は、おそらくシュリンゲンズィーフの挑発性にもっとも肉迫したドキュメントである。そして3人目のスターへのあまりにも美しいオマージュといえよう。

渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

■上映スケジュール

6月17日(土)

16:30 上映『ハムレット それはお前たちだ』(80分)
18:00 講義(講師:渋谷哲也)

■上映作品

ハムレット それはお前たちだ

ハムレット それはお前たちだ
Hamlet – this is your family
80分|2002年|デジタル上映

監督:ペーター・カーン
出演:クリストフ・シュリンゲンズィーフ アルトゥール・アルブレヒト ペーター・カーン イルム・ヘルマン

チューリヒで行われたシュリンゲンズィーフの舞台版『ハムレット』に密着したドキュメンタリー。元ネオナチたちを出演させた過激な演出は、世界中で大きく報道される事態となった。本舞台に出演したカーンはこの一大スキャンダルの顛末をカメラに収めながら、詩的なフィクションと痛烈なコメントの織り交ぜた映画エッセイを生み出した。

■監督情報

ペーター・カーン
PETER KERN


1949年、オーストリアのウィーン生まれ。ウィーン少年合唱団の一員として活躍後、1960年代に舞台俳優の道へ進み、その後ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーやヴィム・ヴェンダース、ヴェルナー・シュレーター、ハンス=ユルゲン・ジーバーベルグなどの名だたる監督作品に多く出演し、俳優としての確固たる地位を築き上げた。一方で、1980年代から監督も務め、25本以上の映画を製作した。遺作『富豪たちの最後の夏』はベルリン国際映画祭で上映された。2015年8月、66歳で逝去。


■入れ替えなし
■上映作品は日本語字幕付き

■料金

一般=1500円
学生/シニア=1300円
アテネ・フランセ文化センター会員==1000円

■会場&お問い合わせ

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
TEL. 03-3291-4339

■主催

アテネ・フランセ文化センター

■協力

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