彼女の姉妹の秘密

Her Sister's Secret 1946年(86分)

監督/エドガー・G・ウルマー

製作/ヘンリー・ブラッシュ 脚本/アンヌ・グリーン(原作/ジーナ・カウス「Dark Angel」) 撮影/フランツ・プラナー 美術/エドワード・C・ジュウェル 衣装/ドン 編集/ジャック・オギルヴィー 音楽/ハンス・ソマー

出演/ナンシー・コールマン(トニ[アントワネット]・デュボワ) マーガレット・リンゼイ(ルネー・デュボワ・ゴードン) フィリップ・リード(ディック[リチャード]・コノリー) フェリックス・ブレッサート(カフェの主ペペ) レジス・トゥーメイ(ルネーの夫ビル・ゴードン) ヘンリー・スティーヴンソン(トニとルネーの父) ウィンストン・セヴァーン(ビリー・ゴードン[子役])

(あらすじ)
 第二次大戦中のニューオリンズでは、戦時下ではあるが名物の謝肉祭(マルディ・グラ)の仮面舞踏会が盛大に行われていた。ペペ(フェリックス・ブレッサート)が経営するカフェで、名家の教授の娘トニは、出征を控えたディック(フィリップ・リード)に出会い、恋に落ちる。彼は結婚を申し込むが、彼女は次の休暇にまた同じカフェで会おう、そのときに決めると告げ、二人は一夜を共にする。
 ディックの次の休暇が取り消され、彼は急遽ヨーロッパに出征することになったことを手紙に記して、ペペのカフェ気付けでトニに、待ち合わせの当日に間に合うように送る。だが運悪く、手紙が着いたときにはペペとワイン納入業者が取引の値段のことで激しく口論しており、ペペは届けられた手紙をよく見もせず、興奮して値段の交渉のメモ書きに使ってしまい、破り捨ててしまう。
 一方トニは父(ヘンリー・スティーヴンソン)に、結婚と、孫ができることをほのめかし、カフェに向かうのだが、当然ながらディックはそこにおらず、彼の手紙も受け取ることができない。
 トニはディックと共に過ごした一夜で妊娠していたのだが、それを父に告げることはできず、父は病没する。ニューオリンズの屋敷を引き払ったトニは、姉のルネー(マーガレット・リンゼイ)に助けを求め、アリゾナの砂漠のなかの人里離れたサナトリウムで秘かに出産する。生まれた子供のビリーはルネーの息子として育てられることになる。ルネーはトニに、子供の将来のためにこの秘密を守り続け、会いにも来ないように約束させる。
 戦争が終わった。ルネーの夫ビル(レジス・トゥーメイ)が復員し、出征中に生まれた我が子だというビリーをとてもかわいがり、一家はニューヨークで裕福な暮らしを始める。
 ビリーの乳母がビリーを公園で遊ばせていると、そこにどうしても我が子が忘れられないトニがいる。トニはよそのおばさんのふりをしてビリーと遊ぶ。乳母からそのことを報告されたルネは、トニが息子を取り戻しに来たのではないかと不安に思う。
 ディックもまた戦争から帰って来ていた。再会できず音信不通のままになっていたトニの消息を求めたものの、ニューオリンズには彼女の姿はなく、彼は彼女の唯一の家族であるルネーを訪ね、トニはどこにいるのかを訊ねるが、なにも知らないというルネーに追い返されそうになる。だがビルが帰宅し、ディックから事情を聞いて、トニが見つかったら教えると快く約束する。
 夜、トニがついにルネーを訪ねる。姉妹は激しい議論を交すが、ルネーは決してビリーは渡せない、夫はビリーを自分の子だと信じて疑っていないし、自分達が育てるのがビリーにとっていちばん幸福なのだと言い続ける。そこに夫のビルが帰って来て、さっそくビリーと遊ぶ姿を見て、トニもこの子にとっては姉夫婦の息子であることがいちばん幸福なのだと悟る。別れ際に、ビルはすべての事実を知っていたことをトニに明かす。ビリーという素晴らしい子供を与えてくれてありがとうと彼女に感謝し、ディックが彼女を探していることを教える。
 姉夫婦の暮らす高級アパートの玄関を出て、通りを挟んだ公園に向けて道を渡ろうとするトニ。そこにディックが現れる。