韓国インディペンデント映画特集
リアルと悪夢の中での葛藤

2018年9月26日(水)ー9月29日(土)(4日間)
会場:アテネ・フランセ文化センター

彼女の場所で

青い口のついた顔

コミュニケーションと嘘

新進気鋭の若手監督達による、韓国インディペンデント映画。韓国の人々の生々しい姿や社会を鋭く描写し、研ぎ澄まされた作品達を、厳選して五本上映します。

インディペンデント映画というと、社会的な問題を取り扱う生真面目な作品が多い印象を受けるが、近年の韓国インディペンデント映画は、プロットや撮影、編集、映像表現に様々な工夫をこらした作品も増えてきた。今回上映する五本は、韓国国内のみならず、世界でも高い評価を受けた若手監督たちの作品だが、いずれの映画も、障害や貧困、アイデンティティ、若年妊娠、孤独と疎外、トラウマなどの重いテーマに触れつつ、巧みな演出によって、映画としても見ごたえのあるものとなっている。今回の特集を通じて、同時代の韓国社会問題に対する鋭い眼差しとユニークな個性だけではなく、韓国インディペンデント映画の魅力と、映像表現の無限な可能性を見出すことができるだろう。

ファン・ギュンミン(映画研究者)

上映作品の解説はこちら

■上映スケジュール
※チケットは1回目上映開始の20分前から、当日上映分を販売します。

9月26日(水)

17:00 『Alone』(90分)
19:00 『コミュニケーションと嘘』(104分)

9月27日(木)

16:30 『彼女の場所で』(115分)
19:00 『青い口のついた顔』(110分)

9月28日(金)

14:50 『鳥類人間』(112分)
17:10 『青い口のついた顔』(110分)
19:30 『Alone』(90分)

9月29日(土)

12:20 『コミュニケーションと嘘』(104分)
14:30 『彼女の場所で』(115分)
17:00 『鳥類人間』(112分)
19:00 トーク:モ・ウニョン(映画祭プログラマー)+ファン・ギュンミン


■監督紹介

パク・ホンミン

パク・ホンミン

翰林大学校放送通信学科を経て、東亜放送芸術大学校専攻深化課程と東国大学校映像大学院修士課程で演出を学び、芸術学修士学位を取得した。2011年に3D映画の『魚』で長編デビュー。2011年釜山国際映画祭の市民レビュワー賞、2012年バンクーバー国際映画祭の審査員特別賞を受賞。『Alone』はパク監督の幼少期の記憶から着想を得て製作した長編二作目で、2015年にソウルインディペンデント映画祭で審査委員賞を、釜山国際映画祭では市民評論家賞を受賞するなど、海外から最も注目されている監督の一人である。

フィルモグラフィー
2008 『じゃんけんぽん』 가위 바위 보 / Rock, Paper, Scissors
2009 『88、世代』88 세대들 / 88, Generations
2010 『いじめる女』괴롭히는 여자 / Harassing Girl
2011 『魚』물고기 / A Fish
2015 『Alone』혼자

キム・スジョン

キム・スジョン

大学で文芸創作科を卒業し、大学4年次に、韓国日報の新春文芸に選出された。しかし、文筆家になることを断念し、映画制作ワークショップに参加したことをきっかけに映画作りを始める。2011年に演出した長編デビュー作の『イマジン』は、性労働者が普通の会社員のように生きている世界を舞台にしたモキュメンタリーであり、長編二作目の『月を撃つ』は外国人労働者を取り上げた。三作目の『青い口のついた顔』は、国内外の様々な映画祭で上映され、2015年のソウルインディペンデント映画祭の優秀作品賞、2016年の障害者映画祭の最優秀賞を受賞した。2017に長編四作目『海辺のキャリーバック』を発表。キムならではのそのユニークな着眼点から生み出される作品のファンも数多く存在している。

フィルモグラフィー
2009 『走れ、テクォン少女』 달려라 태권 소녀 / Go Taekwon Girl, Go
2011 『イマジン』이매진 / IMAGINE
2011 『常識的な出会い』상식적 만남 / A Casual Encounter
2013 『月を撃つ』 달을 쏘다 / shoot the moon
2015 『青い口のついた顔』 파란 입이 달린 얼굴 / A Blue Mouthed Face
2017 『海辺のキャリーバック』 해변의 캐리어 / Suitcase on the beach

シン・ヨンシク

シン・ヨンシク

韓国外国語大学校のスペイン語学科に入学したが、2004年に中退。大学時代に映像作家教育院でシナリオ作法を学び、2002年に長編『ピアノレッスン』でデビューし、第46回インディペンデント映画特集でプレミア上映された。『ドンジュ』や『犬を盗む完璧な方法』などの商業映画の脚本や製作、演出なども担当し、商業映画やインディペンデント映画のどちらにも偏ることなく、独自の観点から映画製作を続けている。『鳥類人間』は、2014年チョンジュ国際映画祭のチョンジュ・シネマプロジェクトの支援作品で、題名はシン監督の前作、『ロシアン小説』で言及された小説から取られた。シンは、自分の過去作から次回作を製作するなど、映画形式にこだわらず、独自の世界観を築き上げている。

フィルモグラフィー
2003 『ピアノレッスン』 피아노 레슨 / Piano Lesson
2005 『いい俳優』 좋은 배우 / A Great Actor
2009 『フェアラブ』 페어 러브 / Fair Love
2012 『ロシアン小説』 러시안 소설 / The Russian Novel
2012 『ザ・リフレクション』더 리플렉션 / The reflection
2014 『俳優は俳優だ』 배우는 배우다 / Rough Play
2014 『鳥類人間』 조류인간 / The Avian Kind
2015 『女、男』여자, 남자
2015 『フランス映画のように』프랑스 영화처럼 / Like a French Film
2015 『視線の間』 시선 사이 / If You Were Me
2015 『私の歌を聴いて』 내 노래를 들어줘
2015 『誇大妄想者たち』 과대 망상자들 / The Delusionist
2016 『ローマ書 8:37』 로마서 8:37 / Romans 8:37
2016 『シンヨンシクガスジュと一緒にパリへ行った理由は?』
    신연식이 수주와 파리로 간 까닭은? /
    Why Has a Man With SOOJOO Left For Paris?

アルバート・シン

アルバート・シン

カナダのオンタリオ州ニューマーケットで生まれ育った、韓国系カナダ人2世。トロントのヨーク大学で映画製作を専攻し、2009年に『ポイント・トラバース』で長編デビュー。デビュー前は、短編テレビシリーズ「イン・カウンセリング」で『カイの場所』という短編を製作した。 『彼女の場所で』は、彼が共同設立者でもあるタイムラプス・ピクチャースがプロデュースしたシンの長編二作目。2014年のトロント映画批評家協会賞でジェイスコット賞を受賞し、2017年に映画レビューサイトのRotten Tomatoesで高得点を獲得。2016年にはヘラルド・グリンバーグ基金を通じて製作されたコナー・ジェサップの短編映画『ライラの森』のプロデューサーを務めるなど、監督だけでなく製作にも力を入れている。

フィルモグラフィー
2005 『ジョンの日』 존의 나날들 / Day of John
2009 『ポイント・トラバース』 포인트 트레버즈 / Point Traverse
2014 『彼女の場所で』 인 허 플레이스 / In Her Place

リ・スンウォン

リ・スンウォン

ソウル総合芸術学校で映画演出を専攻。2005年に製作した短編映画『矛盾』が第6回チョンジュ国際映画祭批評家週間で上映された。しばらく映画業界からはなれていたが、その間に多数の演劇やミュージカルなどの舞台演出と脚本執筆を手掛ける。2015年に演出した長編デビュー作『コミュニケーションと嘘』は、韓国やヨーロパの様々な映画祭で上映され、数々の賞を受賞。次作の『Happy Bus Day』は香港国際映画祭、台湾金馬奨映画祭、チョンジュ国際映画祭に出品され、それぞれ国際批評家協会賞、観客評価団推薦人気賞、CGVアートハウス創作支援賞を受賞するなど、今最も勢いのあるインディペンデント界の若手監督の一人。

フィルモグラフィー
2004 『矛盾』모순 / Absurd
2015 『コミュニケーションと嘘』 소통과 거짓말 / Communication & Lies
2016 『Happy Bus Day』 해피뻐스데이 / Happy Bus Day



■トークゲスト紹介

モ・ウニョン

中央大学大学院で映画とアニメーションの理論を専攻。ソウル環境映画祭、韓国映像資料院シネマテーク(KOFA)のプログラマーを歴任しながら、弁士パフォーマンス『青春の十字路』、ライブ吹替パフォーマンス『異国情鴛』など、多くの映像を使ったライブ公演を企画。さらに『film2.0』、『DVD2.0』、『KINO』、『シネ21』など、多数のメディアに映画評論の寄稿も行っている。現在、富川国際ファンタスティック映画祭、インディアニメフェストのプログラマーを兼務。共著として『真実または虚構-境界線に立ったドキュメンタリー』(2008)。

ファン・ギュンミン

2003年から富川国際ファンタスティック映画祭、ソウル女性国際映画祭の字幕オペレーターを経て、2005年から2009年まで全州国際映画祭プログラムコーディネーターとして様々な上映に関わる。『Movieweek』、『The DVD』、『Kbench』など多数の媒体に映画評論を寄稿。2010年に来日後は明治学院大学大学院で映画学を学び、2018年に博士号を取得した。現在、同大学言語文化研究所研究員で研究を続けるかたわら、韓国映画振興委員会(KOFIC)日本通信員も務めている。


■各回入れ替え制

■全作品日本語字幕付き
■トークは本特集のチケット半券でご覧いただけます。

■料金

一般=1回券1300円(5回券=5500円)
学生/シニア=1回券1100円

アテネ・フランセ文化センター会員=
1回券1000円(5回券=4500円)

■お問い合わせ・会場

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339(13:00-20:00)

■主催

アテネ・フランセ文化センタ—

■プログラム協力

ファン・ギュンミン
チェ・キョンフン