大津幸四郎追悼―上映とシンポジウム

2015年4月18日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

日本のドキュメンタリー映画を支えてきた名キャメラマン大津幸四郎が昨年11月28日に世を去った。岩波映画製作所を離れた後、フリーランスの撮影者として、学生運動、三里塚、水俣、原発をはじめ戦後日本が抱える大きなテーマに一貫してキャメラを向け続けた。つねに若い映画作家と共闘し、晩年には監督にも挑戦した。大津幸四郎の撮影とは何だったのか、代表作3本の上映と関係者によるシンポジウムで構成する追悼企画。

■上映スケジュール

4月18日(土)

12:30 「圧殺の森」(105分)
14:30 「水俣―患者さんとその世界」(167分)
17:30 「花子」(60分)
18:30 シンポジウム「大津幸四郎の撮影をめぐって」
 一之瀬正史(キャメラマン)
 山上徹二郎(プロデューサー)
 代島治彦(『三里塚に生きる』共同監督)
 藤原敏史(『フェンス』監督)
 司会:加藤孝信(キャメラマン)

※入れ替えなし
※チケット販売は12:00から、入場は先着順

■上映作品

圧殺の森

圧殺の森
1967(105分)モノクロ 16mm

監督:小川紳介 撮影:大津幸四郎

高崎経済大学の学園闘争の記録にして、60年代後半の全国的な学園叛乱の予兆に満ちた自主製作映画。キャメラマン大津幸四郎の本格的なデビュー作。

水俣―患者さんとその世界

水俣―患者さんとその世界
1971(167分)モノクロ 35㎜

監督:土本典昭
撮影:大津幸四郎

水俣病を世界に知らしめることになった記録映画の記念碑的作品。土本典昭と大津幸四郎による「水俣シリーズ」第1作。

花子

花子
2001(60分)カラー 35mm

監督:佐藤真
撮影:大津幸四郎

障害者アートを通して芸術の本質を思考した佐藤真の問題作。監督の佐藤、撮影の大津、プロデューサーの山上が協働してデジタル撮影の可能性を追求した作品でもある。



■シンポジウム出演者プロフィール

一之瀬正史(キャメラマン)
土本典昭監督、大津幸四郎撮影作品『パルチザン前史』(1969年)『水俣―患者さんとその世界』(1971年)『不知火海』(1975年)などで撮影助手をつとめる。土本監督作『わが街わが青春―水俣熱唱』(1978年)でキャメラマンデビュー。土本作品としては他に『水俣の図 物語』(1981年)『よみがえれカレーズ』(1989年)を撮影。他に、本橋成一監督『ナージャの村』(1997年)など。同監督の最新作『アラヤシキの住人たち』(2015年)が公開待機中。

代島治彦(映画作家/プロデューサー)
沖縄の若手映画監督3名を起用した『パイナップル・ツアーズ』 (1992年)で映像プロデュース活動を開始。映画美学校ドキュメンタリー・ コースの主任講師を大津幸四郎とつとめ『まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎』(2010年)を完成。大津幸四郎が監督と撮影を担当した『三 里塚に生きる』(2014年)では共同監督をつとめた。

山上徹二郎(プロデューサー)
シグロ代表。土本典昭監督「水俣シリーズ」の撮影時に大津幸四郎と出会う。『ゆんたんざ沖縄』(1987年、西山正啓監督)『花子』(2001年)『エドワード・サイードOUT OF PLACE』(2005年、佐藤真監督) 『老人と海』(1990年)『チョムスキー9.11』(2002年、ジャン・ユンカーマン監督)『狭山事件 石川一雄・獄中27年』(1991年、小池征人監督)『はだしのゲンが見たヒロシマ』(2011年、石田優子監督)など、大津幸四郎撮影の作品を多数製作。

藤原敏史(映画作家/映画批評家)
1990年代に映画批評を書き始め、2002年に映画作家としてデビュー。大津幸四郎撮影で神奈川県逗子市の池子米軍基地問題をモチーフにした2部構成の長編ドキュメンタリー『フェンス』(2008年)を監督。他に加藤孝信に撮影を依頼した『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』(2006年) 『無人地帯』(2012年)がある。ベルリン映画祭フォーラム部門で上映された『ぼくらはもう帰れない』(2006年) など劇映画も監督している。

一之瀬正史(キャメラマン)
土本典昭監督、大津幸四郎撮影作品『パルチザン前史』(1969年)『水俣―患者さんとその世界』(1971年)『不知火海』(1975年)などで撮影助手をつとめる。土本監督作『わが街わが青春―水俣熱唱』(1978年)でキャメラマンデビュー。土本作品としては他に『水俣の図 物語』(1981年)『よみがえれカレーズ』(1989年)を撮影。他に、本橋成一監督『ナージャの村』(1997年)など。同監督の最新作『アラヤシキの住人たち』(2015年)が公開待機中。

加藤孝信(キャメラマン)
1989年より小川プロダクションに参加。飯塚俊男監督 小川紳介構成の『映画の都』(1991年)で大津幸四郎とともに撮影を担当する。メリッサ・リー監督『Kidnapped!』2005藤原敏史監督『映画は生きものの記録である 土本典昭の仕事』(2006年)『無人地帯』(2012年)を撮影。小川紳介は生前、次回作『肘折物語』(未完成)の撮影に加藤孝信の起用を考えていたと伝えられる。


■入れ替えなし

■料金

一般=1800円
アテネ・フランセ文化センター会員=1500円

■お問い合わせ&会場

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4階
03-3291-4339(13:00-20:00)

■主催

アテネ・フランセ文化センタ—
映画美学校

■協力

シグロ