特集 レナーテ・ザミの世界
Renate Sami Retrospektive 2014

2014年3月13日(木)・3月14日(金)/会場:ドイツ文化会館ホール
2014年3月16日(日)/会場:映画美学校試写室

いずれ誰もが死ぬ、ただ問題はいかに死ぬか、そしていかに生きたかだ

チェザレ・パヴェーゼ トリノーサント・ステファノ・ベルボ

ピラミッドと共に

ホルガー・マインスの死を契機に、映画制作を開始したレナーテ・ザミ監督。その孤高の歩みを辿る特集上映を開催します。ザミ監督の初来日も決定しました!

レナーテ・ザミを知ったのは1995年頃、ドイツ留学中だった。映画史の書物に彼女の名前は出てこない。予備知識なく映画館の自主上映で遭遇した作品には、映画の本質に触れる確かな感触があった。例えばストローブ=ユイレが孤高であるのと同じように、レナーテも独自のスタイルで政治と歴史に対峙し世界を真摯に見据えていた。そして何より映像と音と言葉が厳密な形式を生み出していた。レナーテは子供時代に第二次大戦を体験し、エジプト人と電撃的に結婚してエジプトに移り住み、一人帰国して赤十字の活動に従事し、警察の誤認逮捕で一年間拘禁され、釈放後に国から得た慰謝料で映画を作ることを決心した。それがホルガー・マインスの死に際して作られた処女作である。その後も彼女は独力で映画を作り続けた。素材の失われてしまった『物語を語る』を観たルドルフ・トーメは、もっと映画を撮り続けるよう彼女を励ましたという。そして今も彼女は映画を撮り続けている。

渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

2014年3月3日(月)に行われた「いずれ誰もが死ぬ、ただ問題はいかに死ぬか、そしていかに生きたかだ」特別試写会の際の渋谷哲也さんのトークを公開しました。(2014年3月7日)

上映作品の解説はこちら

■上映スケジュール

3月13日(木)
会場:ドイツ文化会館ホール(16:00から当日分の整理券を配布します)

18:10 「いずれ誰もが死ぬ、ただ問題はいかに死ぬか、そしていかに生きたかだ」(51分)
19:30 「チェザレ・パヴェーゼ トリノーサント・ステファノ・ベルボ」(64分)

3月14日(金)
会場:ドイツ文化会館ホール(16:00から当日分の整理券を配布します)

16:50 「ブロードウェイ 95年5月」(30分)+「リアーネ・ビルンベルクの工房と彼女の父ダーヴィット・バルフ・ビルンベルクの物語」(38分)
18:30 「保護箔」(8分)+「お前がバラの花を見たならば」(4分)+「ピラミッドと共に」(93分)※上映後、レナーテ・ザミ監督によるトークあり

3月16日(日)
会場:映画美学校試写室(14:00から整理券を配布します)

14:50 「ブロードウェイ 95年5月」(30分)+「リアーネ・ビルンベルクの工房と彼女の父ダーヴィット・バルフ・ビルンベルクの物語」(38分)
16:30 「チェザレ・パヴェーゼ トリノーサント・ステファノ・ベルボ」(64分)
18:00 「いずれ誰もが死ぬ、ただ問題はいかに死ぬか、そしていかに生きたかだ」(51分)※上映後、レナーテ・ザミ監督によるトークあり

■監督略歴

レナーテ・ザミ

レナーテ・ザミ Renate Sami

1935年、ベルリン生まれ。1975年から映画を撮り始める。それ以前は英語、フランス語、ドイツ語の授業や翻訳活動を行い、映画制作とは無縁だった。
ドイツ赤軍派に属した映画作家ホルガー・マインスが逮捕後にハンガーストライキを決行し、1974年11月9日に亡くなったのを契機に、監督第一作『いずれ誰もが死ぬ、ただ問題はいかに死ぬか、そしていかに生きたかだ』(1975)を撮る。その後『ジャックポット』(1977)、『物語を語る』(1978/79)等を制作。
『チェザレ・パヴェーゼ トリノ—サント・ステファノ・ベルボ』(1985)では、作家パヴェーゼが生まれた街と命を絶った街を訪れ、それらの街が描かれた彼の最後の二つの小説を取り上げた。
その後、ザミが18歳で初めて訪れたエジプトを題材に『ピラミッドと共に』(1990)を制作。その他の作品に、『ブロードウェイ 95年5月』(1996)、『タリアセン フランク・ロイド・ライト』(2003)、スーパー8で撮りためられた映像にパヴェーゼの詩や音楽を重ねた『映画日記1975‐85』(2005)、『リアーネ・ビルンベルクの工房と彼女の父ダーヴィット・バルフ・ビルンベルクの物語』(2007)など。最新作は自宅の窓の外の壁から時間の流れを捉えた『一年』(2011)。


ホルガー・マインス(Holger Meins)氏の表記について
「ホルガー・マインツ」がより実際の発音に近いですが、現在、日本で定着している表記に準じてこのように記載いたします。


■関連企画

映画の土曜日 東京編 part.4
レナーテ・ザミ 「一年」上映+トーク


2014年3月15日(土)
会場:ESPACE BIBLIO(エスパス・ビブリオ)


特集上映と初来日を記念して、レナーテ・ザミ監督がドイツで仲間たちと主催していたイベント「映画の土曜日」の「東京編」を開催します。作品の抜粋上映を交えながら、ドイツ映画研究者の渋谷哲也氏がザミ監督に来歴、映画観、思想をうかがいます。そして、ザミ監督の最新作「一年」を全編特別上映!

http://www.athenee.net/culturalcenter/program/sa/sami_t.html

主催:アテネ・フランセ文化センター、Espace Biblio



■各回入れ替え制

■料金

一般=800円
ドイツ文化センタードイツ語講座受講生・アテネ・フランセ文化センター会員=600円

■お問い合わせ

アテネ・フランセ文化センター
03-3291-4339(13:00-20:00)

■会場

ドイツ文化会館ホール
地下鉄 青山一丁駅より徒歩7分
東京都港区赤坂7-5-56
TEL. 03-3584-3201

映画美学校試写室
渋谷・文化村前交差点左折
東京都渋谷区円山町1-5
KINOHAUS地下1階

■主催

アテネ・フランセ文化センター
東京ドイツ文化センター
東京ドイツ文化センター

■協力

レナーテ・ザミ
映画美学校

■助成

科学研究費補助金
基盤研究(C)24520172