Im Apparat 現代ドイツ映画作家シリーズ
アンゲラ・シャーネレク 最新作の上映とトーク

2022年10月8日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

家にはいたけれど

家にはいたけれど

家にはいたけれど

現代ドイツ映画の代表的なインディペンデント映画作家アンゲラ・シャーネレク監督の来日を記念して、最新作『家にはいたけれど』を上映し、監督をお招きしてのトークを実施します。
本企画は慶應大学アンドレアス・ベッカー氏によるドイツの様々なアーテイストや研究者を招いてのトーク〈Im Apparat〉シリーズの一環としてDAADの助成を受けて開催するものでもあります。

私にとって母たる役割は数多くの疑問を投げかける。時に子どもたちへの愛情をどう注げばよいか分からなくなり、すると今度は愛情が不足してはいないかと考えてしまう。子どもたちが生まれた時はシンプルだったが、成長するにつれ次第に難しくなった。今子どもたちは成人し、私にとってはもはや謎の存在である。自分の子どもということを考えずに外見のみを見れば、私が未だに感じてしまう数々の心配は根拠のない無意味なことに思える。だがその視線は私のまなざしではない。彼らは私の子どもであり、私はあまりに強く自己同一化してしまうのだ。これは多くの母たちが共有する問題だと思う。少なくとも西洋ではそうだが、日本の母たちも同じ問題を抱えているだろうかと自問する。また私は、母であることと同時に己の愛する職業を持ちそれを必要とすることが投げかけるの問題にも解決がないだろうと思っている。

アンゲラ・シャーネレク(映画監督)


Meine Rolle als Mutter wirft für mich viele Fragen auf. Manchmal weiß ich nicht, wohin mit all der Liebe, die ich für meine Kinder habe, dann wiederum denke ich, ich liebe sie nicht genug. Als sie geboren wurden, war es einfach. Je älter sie wurden, desto schwieriger wurde es. Jetzt sind sie erwachsen und eigentlich ein Rätsel für mich. Wenn ich sie mehr von aussen betrachte, ohne daran zu denken, dass sie meine Kinder sind, dann sehe ich, dass die vielen Sorgen, die ich mir immer noch mache, keinen Grund und keinen Sinn haben. Aber dieser Blick ist nicht mein Blick. Es sind meine Kinder und ich glaube, dass ich mich zu sehr mit ihnen identifiziere. Ich denke, dieses Problem teile ich mit vielen Müttern, zumindest im Westen. Ich frage mich, ob Mütter in Japan sich die gleichen Fragen stellen. Ich glaube auch, dass es keine Lösung gibt für das Problem, eine Mutter zu sein und gleichzeitig seine Arbeit zu lieben und zu brauchen.

Angela Schanelec

■上映スケジュール
※チケットは1回目上映開始の20分前から、当日上映分を販売します。

10月8日(土)

17:00 『家にはいたけれど』(105分)
18:50 トーク:アンゲラ・シャーネレク(映画監督)
司会:アンドレアス・ベッカー(慶應義塾大学准教授)
進行・通訳:渋谷哲也(ドイツ映画研究者、日本大学文理学部教授)

■上映作品

家にはいたけれど
©Nachmittagfilm Angela Schanelec

家にはいたけれど
Ich war zuhause, aber..
2019年/105分/デジタル/日本語字幕
脚本・監督:アンゲラ・シャーネレク
撮影:イヴァン・マルコヴィッチ
出演:マーレン・エッガート ヤーコプ・ラサール クララ・メラー フランツ・ロゴフスキ

ベルリン在住のアストリットはシングルマザーとして2人の子どもを育てていた。ある日13歳のフィリップが失踪し1週間後に戻って来たが、その経緯を何も語らない。アストリッドも学校の教員もどう対処していいか分からず、それまで自明と思われていた生活が次第に不確かなものとなってゆく。映画ではこの大きな事件のその後を様々な局面で切り取って提示し、そこに生徒たちが演じる『ハムレット』の場面が挿入される。


■監督紹介

アンゲラ・シャーネレク
©Joachim Gern

アンゲラ・シャーネレク
Angela Schanelec

1962年、バーデン=ヴュルテンベルク州アーレン生まれ。1982‐84年フランクフルトで演技を学び、1991年までドイツ各地の劇場の舞台に立つ。1990年から5年間、ベルリンのドイツ映画テレビアカデミーに学び、95年から独立映画監督としてデビュー。2005年に自身の映画会社を設立する。2012年から現在までハンブルク造形大学の教授を務める。 1998年の長編デビュー作『都会の場所』はカンヌ映画祭「ある視点」部門で上映された。2004年作『マルセイユ』は、ドイツ映画批評家賞脚本賞を受賞、2007年作『昼下がり』はアルバ国際映画祭監督賞を受賞した。研ぎ澄まされたミニマルな手法はアケルマン、ブレッソンらと比較される。


【お知らせ】
新型コロナウィルスの感染状況により、開映時間の変更や席数の制限をさせていただく可能性があります。
ご来場前にウェブページでご確認いただくか、お問合せ下さいますようお願い申し上げます。

■料金

一般=1000円
学生/シニア/アテネ・フランセ文化センター会員=800円

■お問い合わせ・会場

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339(13:00-20:00)
infor@athenee.net

■企画立案

アンドレアス・ベッカー(慶應義塾大学准教授)

■主催

アテネ・フランセ文化センター


映画美学校

■助成

DAAD(ドイツ学術交流会)

■協力

慶應義塾大学文学部ドイツ文学科
渋谷哲也(ドイツ映画研究者、日本大学文理学部教授)

Im Apparat