ベルリン・アレクサンダー広場

Berlin Alexanderplatz 1979年 全14話(上映時間14時間58分)

監督・脚本/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

原作/アルフレート・デーブリン 撮影/クサーヴァー・シュヴァルツェンベルガー 音楽/ペーア・ラーベン 製作会社/バヴァーリア・アトリエ 共同製作/イタリア放送 RAI(西部ドイツ放送(WDR)委嘱作品)

出演/ギュンター・ランプレヒト ハンナ・シグラ カリン・バール ブリギッテ・ミラ フランツ・ブッフリーザー エリーザベト・トリッセナー ゴットフリート・ヨーン バーバラ・スコヴァ イルム・ヘルマン マーギット・カーステンセン バーバラ・ヴァレンティン

1920年代末ドイツのベルリン。二つの世界戦争に挟まれた不穏な時代。第一次大戦敗戦の痛手で社会は不安定を極め、失業者は日々増加し、犯罪が横行していた。またナチスと共産主義者の対立も激しさを増していた。その半面ベルリンはヨーロッパ有数の大都市(メトロポール)であり爛熟した文化が花開いた。そんな激動の時代を一人の“普通”の男フランツ・ビーバーコップが辿る受難に満ちた物語である。

第1話(プロローグ)
処罰が始まる Die Strafe beginnt(82分)
フランツは恋人イーダ殺害の罪でテーゲル刑務所に服役していた。出所した彼は大都市ベルリンの中で行き場を失う……。

第2話
死にたくなければどう生きるべきか Wie soll man leben, wenn man nicht sterben will(59分)
生活のためにフランツは、ネクタイ留めやポルノ雑誌の街頭販売を始めるがうまくいかない。深い考えもなくナチスの党新聞販売に手を染めるが……。

第3話
脳天の一撃は心も傷つける Ein Hammer auf den Kopf kann die Seele verletzen (59分)
訪問販売を始めたフランツ。とある玄関先に立った彼を見て住人の女性は動揺した。フランツは彼女の死んだ夫にそっくりだった……。

第4話
静寂の奥底にいる一握りの人間たち Eine Handvoll Menschen in der Tiefe der Stille(59分)
フランツは友人の家に間借り生活をし、日々酒に溺れている。フランツは自身の窮状を聖書のヨブになぞらえる……。

第5話
神の力を持った刈り手 Ein Schnitter mit der Gewalt vom lieben Gott(59分)
フランツはイカサマ商売の元締めプムスと知り会うが、仲間に加わる事は拒む。だがその一味のラインホルトに出会い、うち解けるようになる。

第6話
愛、それはいつも高くつく Eine Liebe, das kostet immer viel(58分)
フランツはラインホルトの女グセの悪さを直そうとするが、彼は聞き入れない。彼の口車にのってフランツはある仕事に出かける。

第7話
覚えておけ—誓いは切断可能 Merke: Einen Schwur kann man amputieren(58分)
元恋人エバの家に厄介になっているフランツ。体も衰弱し再び酒浸りになり、ある酒場でエミーという女に出会う。

第8話
太陽は肌を暖めるが、ときに火傷を負わす Die Sonne wärmt die Haut, die sie manchmal verbrennt(58分)
自宅に戻ったフランツは、まっとうに生きるという誓いを捨て、シニカルな人間になっていた。ある日ヤクザな若者ビリーが訪ねてきて……。

第9話
多数者と少数者の間の永遠の隔たり Von den Ewigkeiten zwischen den Vielen und den Wenigen(58分)
フランツは恋人ミーツェに養われるヒモの生活を始める。彼は久しぶりにラインホルトを訪ねる。

第10話
孤独は壁にも狂気の裂け目を入れる Einsamkeit reißt auch in Mauern Risse des Irrsinns(59分)
不妊のミーツェのため、エバがフランツと子供を作るという密約が結ばれる。フランツは仕事もせずいよいよ酒に溺れていく。

第11話
知は力 早起きは三文の得 Wissen ist Macht und Morgenstund hat Gold im Mund(59分)
フランツはラインホルトを訪ね、また一緒に仕事を始める。ラインホルトに自分とミーツェの仲を見せつけようとするが……。

第12話
蛇の心の中にいる蛇 Die Schlange in der Seele der Schlange(59分)
ラインホルトはミーツェをある森に連れ出す。その森は以前、フランツとミーツェが仲直りをした場所だった。

第13話
外面と内面、そして秘密に対する不安の秘密 Das Äußere und das Innere und das Geheimnis der Angst vor dem Geheimnis(59分)
ミーツェが戻らない事に、フランツとエバは不安を抱く。ある日イカサマ商売をしていたフランツは仲間のヘマで失敗してしまう。

第14話(エピローグ)
子供の死 そして有益な男の誕生
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー:フランツ・ビーバーコップの夢についての私の夢
Vom Tod eines Kindes und der Geburt eines Brauchbaren. (Rainer Werner Fassbinder: Mein Traum vom Traum des Franz Biberkop)(112分)
このエピローグが示すのは、二人の破滅した男の関係をめぐるグロテスクなイメージのパノラマである。