トーマス・アルスラン監督特集
Thomas Arslan Retrospektive 2016

2016年5月10日(火)-5月14日(土)(5日間)
会場:アテネ・フランセ文化センター

売人

晴れた日

黄金

ベルリン派の旗手、トーマス・アルスラン。 自らのルーツとベルリンに向き合い、最新作『黄金』で新境地を開いた彼の8作品を一挙上映します。

【お詫びと訂正】

チラシの告知におきまして、『黄金』の情報に誤りが含まれておりましたので、訂正のご案内をさせていただきます。上映会へご参加の際には、下記の情報をご参照くださいますようお願い申し上げる次第です。
裏面の作品情報
(誤)ダイアン・カールソン
(正)ディラン・カールソン

アルスラン 真に世界的な映画作家
1996年ベルリンのある映画館で『兄弟』に出会って以来、ずっとアルスランに注目し続けてきた。99年のベルリン映画祭で『売人』が称賛され、移民二世でありニューシネマ美学のシネアストとしてアルスランの時代が来ると思われた。ところが彼はその追い風に乗ることはなかった。2001年の『晴れた日』は大げさな社会的・映画美学的身振りのないささやかな小品だった。アルスランは紋切型の予想を裏切ってゆく作家なのだとその時に得心した。続く『彼方より』は移民二世が遥かな故郷に向かうと思わせてアイデンティティを探す感傷的まなざしとは無縁だ。ドイツかトルコかの二項対立はすでに乗り越えられていた。だから続く『休暇』で典型的なドイツの家族映画をニュー・ジャーマン・シネマの代表的女優アンゲラ・ヴィンクラー主演で撮ったのは、彼なりに<ドイツ映画>を普遍的レベルにもたらすためのステップだったのではないか。それがもっとも成功したのが『イン・ザ・シャドウズ』だ。ファスビンダーの『愛は死より冷酷』をどこかで彷彿とさせるギャング映画はニューシネマ美学の到達点を示すとともに、同時代ベルリンを普遍的な犯罪都市に変貌させている。もはやアルスランにとってドイツやベルリンはアイデンティティの参照点ではない。だからこそ真に世界的な映画作家となりえたのだと思う。

渋谷哲也(ドイツ映画研究者)

上映作品の解説はこちら

■上映スケジュール
※チケットは1回目上映開始の20分前から、当日上映分を販売します。チケットの番号順での入場になります。

5月10日(火)

17:20 『兄弟』(82分)
19:10 『売人』(72分)

5月11日(水)

14:40 『晴れた日』(74分)
16:30 『周縁で』『彼方より』(計113分)
19:00 『休暇』(91分)

5月12日(木)

15:00 『休暇』(91分)
17:00 『イン・ザ・シャドウズ』(85分)
19:00 『黄金』(101分)

5月13日(金)

14:20 『兄弟』(82分)
16:15 『売人』(72分)
18:00 『周縁で』『彼方より』(計113分)
20:00 トーク:「アルスランにおける移民テーマ」
渋谷哲也
(ドイツ映画研究者)

5月14日(土)

13:45 『晴れた日』(74分)
15:30 『イン・ザ・シャドウズ』(85分)
17:30 『黄金』(101分)
19:20 トーク:「『黄金』をめぐって」
吉田広明
(映画批評家)+渋谷哲也


■監督紹介

トーマス・アルスラン

トーマス・アルスラン
Thomas Arslan

1962年、ブラウンシュヴァイク(ドイツ)生まれ。小学校時代の4年間をアンカラ(トルコ)で過ごした後、ドイツに戻る。86年にベルリンの映画テレビアカデミーに入学し、92年より映画監督・脚本家として活動。アカデミーの同窓生クリスティアン・ペッツォルトらと作風が類似していたため「ベルリン派」と称された。代表作はトルコ系移民2世の若者を取り上げた3部作『兄弟』『売人』『晴れた日』。ドキュメンタリー『彼方より』でトルコにカメラを向けた後、2006年の『休暇』からトルコから離れたテーマで映画を作り続けた。2013年には西部劇『黄金』を制作、ベルリン国際映画祭をはじめ、世界中の映画祭で上映される。現在は再びヨーロッパを舞台に新作を準備中。


■各回入れ替え制
■全作品デジタル上映
■全作品日本語字幕付き

■トークは本特集のチケット半券でご覧いただけます。

■料金

一般=1200円(3回券=3200円
アテネ・フランセ文化センター会員/学生/シニア=1000円(3回券=2600円

チラシのダウンロードはこちら

トーマス・アルスラン監督特集

■お問い合わせ・会場

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339(13:00-20:00)

■主催

アテネ・フランセ文化センタ—